とくに命にかかわる可能性があるのは、呼吸、心臓、嚥下などの筋肉の問題です。筋ジストロフィーの病型により、これらの問題の生じやすさは異なります。
 呼吸不全や心不全の症状は、とくに筋萎縮が進んだ患者さんでは、症状の出方が通常とは異なってきます。食事量が減ってしまい、体重が減ってきたり、夜に眠れなくなったりしたときには、呼吸状態や心臓がどうかを検討します。


(1) 呼吸: 痰があるときに咳の力が弱いと、痰が出せずに苦しい思いをすることになります。咳の力を強め、痰を出しやすくするための工夫が大切になります。口、舌、のどに障害がない患者さんでは、舌咽頭呼吸が出来ると大変役立ちます。
呼吸の筋肉に障害が生じてきたら、肺活量が減ってきます。障害が強くなると、まず鼻マスクで人工呼吸器を使うことになります。人工呼吸器をうまく使っていくためには、胸の動きが硬くならないようにすることが大切です。そのための準備や訓練も大切になります。神経筋疾患での呼吸リハビリテーションは、十分に肺に空気が入るようにして、これを維持するのが目標です。

(2) 心臓: 心臓が障害される病型では、定期的に検査をして、心機能が低下してきたら、悪くなりすぎないように、心不全対策の薬剤を開始していくことになります。病型によっては不整脈にも注意していきます。

(3) 嚥下: 嚥下障害が進むと、誤嚥から肺炎が起こりやすくなります。呼吸の問題とも関連して、評価を行います。

(4) 肺炎、無気肺などでの排痰: 痰がからんで 出しにくくなると、肺炎になりやすく、肺がつぶれる無気肺にもなりやすい可能性があります。排痰が不十分なときには、カフレータ(カフマシーン, MI/E; カフアシストなど)、パーカショネア(IPV)などの機器も利用しています。

姿勢にかかわる問題
 筋肉はやせるばかりではなく、残っていて使える筋肉ほど、硬くなり、短くなり、伸びなくなる傾向があります。伸びなくなった筋肉が何かの拍子で無理に伸ばされると痛みが生じますし、一定の姿勢がとれなくなりためにも不都合が出て来ます。どの筋のストレッチをどのように行っていくかが大切になります。とくに身長が伸びる時期には、筋短縮が進むことがありますので、重要になります。姿勢の変化で重要なものには、側弯があります。側弯は、呼吸や座位の姿勢にも影響しますので、側弯予防が重要ですが、時期と程度により手術も考慮されます。

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