いずれも脳~脊髄に及ぶ中枢神経系の病気であり、視力・視野障害・眼痛・霧視、眼球運動障害(複視、遠近感低下など)、感覚異常(しびれ、痛み、感覚低下・感覚過敏など)、筋力低下・運動麻痺、言語障害、起立・歩行障害、ふらつき・眩暈、膀胱直腸障害、記憶障害・集中力低下、倦怠感、易疲労性など多彩な症状(=空間的多発性)を呈します。特徴としてこれらの症状が良くなったり(=寛解)悪くなったり(=再発)を繰り返すこと(=時間的多発性)と、個人差が大きい(=重症度の多様性)ことです。
 多発性硬化症(MS)では神経細胞そのものは基本的には障害されず、それを取り巻く髄鞘(ミエリン)とよばれる電線の鞘を作成するオリゴデンドログリアが障害される(=脱髄)ためであり、病状が進展しているときは電気活動がうまく伝達されないものの、障害が除去されれば比較的元に戻るという経過を示します(再発寛解型)。しかし患者によっては再発を繰り返していく内に完全には寛解せず、または明らかな寛解がないまま次第に後遺症を残してしまい、車椅子生活や寝たきりになってしまう方もいます(二次進行型・一次進行型)。欧米ではこのような進行型の経過をとる患者の頻度が多く再発寛解型の5年から10年で80%程度が移行するのに対し、日本では10%ほどに留まりますが最近は徐々に増えてきています。症状の分布から大脳を中心とする大脳白質型(古典型)(C-MS)とほぼ視神経や脊髄に限局する視神経脊髄型(OS-MS)に大別でき、欧米では前者が圧倒的に多く(90~95%)、日本を含むアジアでは後者の割合が欧米に比べて多い(30~35%)という特徴がありますが、最近日本でも軽症の大脳白質型が欧米並みに多くなってきており、食生活などのライフスタイルや衛生条件の変化が関与していると考えられています。
 視神経脊髄炎(NMO)では神経細胞の電池ボックスの役割を果たすアストロサイトが先に障害されてから脱髄が起こるという違いがあり、ほとんどが再発寛解型の経過を呈しますが、特徴的に脊髄に長い病変を呈し、中には大脳にも縦に広がる病変を伴うこともあり、症状が派手な場合が少なくなく、両眼の高度視力障害~失明、強い疼痛や両側麻痺、意識障害が生じることがあります。

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