鑑別を要する疾患は多岐にわたり、神経内科医による神経所見の診察と各種検査(髄液検査、血液検査、電気生理学的検査、画像検査など)から総合的に判断します。近年神経内科のある病院が増え、MRIによる画像検査が発達して診断率は上がっていますが、画像で捉えられない場合も決して少なくはなく、やはり病歴が重要となります。
 近年研究が進み、基本的には脱髄疾患でありながら初期においても神経細胞と軸索は障害され、再発の度に障害度が蓄積するということが明らかになってきており、出来るだけ早期の発見と治療が後遺症を最小限にするために必要となってきます。
 治療は、発症期や再発期(=急性増悪期)と安定期(慢性維持期)に大別して行います。急性増悪期にはいずれの疾患に対しても炎症による症状の悪化を抑えるためにステロイドパルス療法(またはリンデロン内服パルス療法)を行うことが一般的ですが、反応性が悪い場合には血漿免疫吸着療法・単純血漿交換療法・二重膜濾過血漿交換療法などの血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法(ただし現状では保険外)を行うこともあります。視神経脊髄炎や典型的でない多発性硬化症の場合はステロイド療法の反応性が低い傾向にあり、早めの血液浄化療法に移行することが推奨されますが、その後のステロイドパルス療法への有効性が回復しやすくなる傾向にあります。慢性維持期には再発・増悪抑制の目的で従来から経口ステロイドや各種の免疫抑制剤が使用されてきていましたが、治験を経ていないので保険承認されたものではありません。保険承認されたものとして、多発性硬化症(MS)に対しては注射製剤であるインターフェロンβ製剤(日本ではベタフェロンが2001年に、アボネックスが2006年に認可)と経口薬であるフィンゴリモド(日本では2012年に認可)が、再発寛解型と二次進行型(ベタフェロンのみ)に対して有効性が確立していますが、反応性の乏しい症例、却って悪化してしまう症例、タイプが変わってしまう症例も稀ではなく、他の治療の選択が必要な患者が少なからず存在することがあり、実際にはそのほとんどが視神経脊髄炎(NMO)やその類似疾患(膠原病合併例など)であることが判明しています。視神経脊髄炎(NMO)に対して保険承認された薬剤はまだなく、現状では少量ステロイド単独かアザチオプリン(アザニン、イムラン)/タクロリムス(プログラフ)やシクロスポリン(サンディミュン)/メトトレキセート(リウマトレックス、メトトレキサート)などの免疫抑制剤との併用で維持することが主流です。
 いずれの疾患に対しても再発抑制・進行防止、耐久性改善のための薬剤が開発・治験中です。多発性硬化症(MS)に対しては欧米ですでに発売されたタイサブリやコパキソンは近々日本でも治験後の認可される予定であり、視神経脊髄炎(NMO)に対しては海外ではリツキサンなど、日本ではアクテムラの治験が始まっています。

閉じる

© NCNP