現在、国立精神・神経医療研究センター病院では、ここ数年でみても年間約30~50名が新患で来られており、年間350名程度の外来患者さんを診療し、年間50~70名の患者さんを入院で診療しています。一般外来の他に、専門外来として山村隆医師(神経研究所免疫研究部部長)を中心として診療体制を組み、再発時には柔軟に対応しています。入院患者さんに対しては岡本智子医長、荒木学医師、林幼偉医師が中心となり毎週定期的にMSカンファを開いて山村隆医師と治療方針を議論しています。また多発性硬化症の研究では国内外を代表する神経研究所免疫研究部の支援を受け、海外の一流機関とも交流を密にして最新の研究成果を患者さんに還元できるように努めています(詳細は以下をご参照下さい:http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r_men/index.html)。また治療の点においても、早期治療のため再発時には外来でもステロイドパルス(点滴)やリンデロンパルス(内服)を行うことはもちろん、反応性の悪い場合には入院にて積極的に血液浄化療法などを行うようにしています(年間延べ25~35人/150~300回程度施行し、60%程度の症例で有効)。さらに従来の治療で対応できない症例に対してアザチオプリン(アザニン、イムラン)、タクロリムス(プログラフ)やシクロスポリン(サンディミュン)、メトトレキセート(リウマトレックス、メトトレキサート)などの免疫抑制剤の投与、または欧米では進行型の多発性硬化症に対しても有効性が高く評価されていながら日本では未認可であるミトキサントロン(ノバントロン)、シクロフォスファミド(エンドキサン)などの抗癌剤投与も行うことが可能となっており、進行型を含めた難治性の症例に対して各種の治療の選択が可能となりつつあります。また現状ではまだ再発予防として有効な治療が承認されていない視神経脊髄炎においては、抗IL6R抗体:トシリズマブ(アクテムラ)による治療を行っており、これまでの治療では不十分だった疼痛緩和にも有効であることが示されています。
 また多発性硬化症では痛みやしびれの後遺症のため、不眠、抑鬱などの症状が現れることもあります。当院では、このような従来軽視されがちであった症状に対しても、精神科医師とのコンサルトも交えるなどして、できるだけきめ細かく対応し、患者さんのQOLを向上させるように努めています。

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