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筋疾患センター(Muscular Disease Center (MDC) )

わたしたちは、

  1. 1.筋疾患全般を対象に包括的かつ先進的診療を提供します
  2. 2.筋疾患の克服を目指して、臨床研究・臨床試験を積極的に進めます
  3. 3.国内外機関との連携を進め、筋疾患医療の進歩に貢献していきます

 筋疾患の診療を包括的に行う、多部門が連携した診療・研究チーム(multidisciplinary team)です。国立精神・神経医療研究センター(旧、国立精神・神経センター)は、数十年にわたる筋疾患の診療、研究の実績を有しています。また40年以上にわたり運営されてきた筋ジストロフィー研究班でも中心的な役割を担ってきました。筋疾患センターは、それらの経験をもとに、かつさまざまな部門が連携していくことで、筋疾患の医療の進歩に貢献していくことを目標としています。

診断・治療

 筋疾患が疑われる患者さんの診断や、筋疾患の診断を受けた患者さんに対する治療を最新の知見に基づき提供していきます。

特徴

1.診断

 電気生理学的検査、画像診断、筋病理、遺伝子診断などの方法を用いて正確な診断を行い、その後の診療に役に立つ結果を提供していきます。特に筋病理診断に関しては、1978年以来12000例を越える診断実績を有するとともに、20種類以上の組織化学染色による詳細な解析を全例に施行しており、質・量ともに世界最高の水準にあります(疾病研究第一部)。また、遺伝子診断に関しても、特に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの遺伝子診断が可能な施設は、本邦で唯一であるのみならず、世界でも数カ所しかなく、重要な診断拠点となっています(疾病研究第一部、DNA診断治療室)。

2.遺伝カウンセリング

 臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーによる最新の知見に基づく遺伝カウンセリングを提供します。遺伝子診断を行う際には主治医と遺伝カウンセリング外来が連携し、心理面にも十分配慮いたします。保因者診断、出生前診断についてのご相談もお受けします(遺伝カウンセリング室)。

3.治療

 ステロイドなどの薬物療法、人工呼吸療法、心筋症に対する治療などを提供します。筋ジストロフィー研究班でも中心的な役割を担っており、治療法の向上や標準化を検討しています。

4.専門外来

 専門外来(小児神経科、神経内科、整形外科、リハビリテーション科)を開設しています。日本で最も多く筋疾患の診療を担当している病院の一つであり全国各地から患者さんの紹介実績があります。

5.広報活動

 筋ジストロフィー市民公開講座を毎年開催しています。最近は150名を超える参加をいただいています。2013年7月までに10回開催しており、当センターホームページ(http://www.ncnp.go.jp/)で開催情報をご案内します。国内外での講演活動、本の出版、ホームページなどを通して筋疾患医療の情報公開を心がけています。

6.外来の受診方法

完全予約制となっております。

外来のご案内

 上記にて、小児神経科、ないしは神経内科の新患の予約をお取りいただいたうえ受診ください。予約の際には、筋疾患が疑われている、診断を受けているなどの情報を予約センター担当者にお伝えください。当センターから遠方に居住の患者さんで入院での検査、治療が必要な場合には外来受診を経ずに入院する手配も状況により対応していますがこの場合は主治医を通したご依頼とさせていただいています。

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療育・ケア

 筋疾患の多くは根本的な治療法がありませんが、定期的な診察・評価と適切なケアを継続して行っていくことで患者さんの生活環境や予後は改善してきています。私たちは生活の質の向上などをめざして多面的なケアを提供します。

特徴

  1. 1.先を見越して時期に応じたリハビリテーションの提供を行います。呼吸障害、排痰困難に対して、呼吸リハビリテーション、在宅人工呼吸療法を提供します。よりよい在宅療養ができるようなサポート体制構築に関する相談を行います。センター病院かかりつけの患者さんの家族を中心とした、筋ジストロフィー家族会の運営をサポートしています。
  2. 2.各診療科での診療
    • A)噛み合わせが悪い、口腔ケアなどの問題に対する歯科治療を提供します。
    • B)客観的な評価も利用して、管理栄養士による栄養相談を提供します。
    • C)誤嚥や飲み込みの問題に対して、飲みこみ外来による正確な評価と対応を検討します。(飲みこみ外来)
    • D)経口摂取のみで体調維持が困難となった場合など、胃ろうの造設・管理を行うことが可能です。
    • E)筋疾患に対する理解のある整形外科による診療を提供します。
    • F)筋疾患をもつ麻酔にはいくつかの注意点があります。麻酔科では筋疾患をもつ患者さんに対し、適切な麻酔法を提供します。

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先進医療推進

 筋疾患の多くは、根本的治療法がありません。全ての筋疾患が希少疾病(患者さんの数が少ない疾患)ですので、患者情報収集や臨床試験の実施には多くの困難を伴います。このような状況を打破するために、研究所での研究成果をいち早く応用する体制、国際的ネットワークの形成とそのネットワークへの積極的な参加が必要です、私たちは、筋疾患の先端的診断法、治療法開発を世界と協調し進めていきます。

特徴

  1. 1.筋ジストロフィーに対する治験を行っています。2013年8月末現在4つの治験を行っています。
  2. 2.研究所で得られた新たな知見をいち早く診断に応用し、他施設で行うことができない診断を行います。
  3. 3.研究所と病院が緊密に連携し、筋疾患の臨床試験を含む先進医療を開発していくための体制作りを行っています。
    • A)治験に向けた準備の一環として、筋ジストロフィー研究班を通して筋ジストロフィー患者登録システムを構築しました。ジストロフィー患者登録センターにて管理運営を担当しています(Remudy
    • B)日本における筋ジストロフィーの臨床試験の促進を目指した、筋ジストロフィー臨床試験ネットワークを設立し、当センター内に事務局を設置しています(筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク)。
    • C)米国小児医療センターを中心とした筋ジストロフィー臨床研究グループ(CINRG)の正式メンバーとして活動を行っています。ヨーロッパの神経筋疾患臨床研究グループ(TREAT-NMD)と協調した患者登録制度の運用や国際共同研究を行っています。
    • D)アジア・オセアニア筋学センターならびに世界筋学会で中心的な役割を果たし、先端医療情報の交換を積極的に行っています。
    • E)研究所と病院内のみでなく、規制当局(厚生労働省や医薬品機構などの医薬品の認可を担当する組織)や製薬関連企業などと積極的に意見交換を行っています

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筋疾患センターの関連部門とコアメンバー

筋疾患センター長:
小牧宏文
小児神経科:
石山昭彦、小牧宏文、佐々木征行
神経内科:
大矢寧、森まどか、村田美穂
リハビリテーション科:
小林庸子、岩田恭幸
外科:
三山健司
歯科:
福本裕
麻酔科:
中井哲慈
飲みこみ外来:
山本敏之
治験管理室:
玉浦明美
遺伝子検査診断室、遺伝カウンセリング室:
小松有希子、竹下絵里、後藤雄一
トランスレーショナルメディカルセンター:
木村円、武田伸一
神経研究所疾病研究第一部:
西野一三

これ以外にも多くのスタッフが筋疾患の診療・研究に関わっています。

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筋疾患センターに対するお問い合わせ

小牧宏文(: )メールによる患者さんの医療相談は行っておりません。

リンク、筋疾患の情報を得るのに有益なサイト

※リンク先は当センターが直接関与しているとは限りません。したがってその内容について保証するものではありません。基礎知識をお持ちでない場合には理解が難しい場合もあるかもしれません。その場合にはそれぞれの主治医などに直接聞いていただいたほうがよい場合もありえます。

当センター関係

神経筋疾患患者登録センター(Remudy, レムディー)

飲みこみ外来

疾病研究第一部の各種診断サービス

A) 筋病理診断サービス

B) DMRV遺伝子診断サービス

C) FSHD DNA診断サービス

D) Remudyジストロフィン遺伝子解析サービス

筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク

筋ジストロフィー臨床研究班

当センター外

日本筋ジストロフィー協会

遠位型ミオパチー患者会(PADM)

ウールリッヒ型筋ジストロフィー患者会~UCMDの会~

独立行政法人国立病院機構

TREAT-NMD(トリートエヌエムディー)

ヨーロッパを中心として、神経・筋疾患の診療、患者登録、研究を効率良く進めていくことを目標としたグループです。

CINRG(シナジー)

米国小児医療センターを中心とした、筋疾患の研究グループです。国立精神・神経医療研究センターは正式メンバーとして参加しています。

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筋疾患の分類

参考:筋疾患の医療情報

筋ジストロフィー

  • Duchenne型筋ジストロフィー
  • Becker型筋ジストロフィー
  • 肢帯型筋ジストロフィー
  • Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー
  • 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
  • 眼咽頭型筋ジストロフィー
  • 先天性筋ジストロフィー
    • 山型先天性筋ジストロフィー
    • メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー
    • ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー など

先天性ミオパチー

  • ネマリンミオパチー
  • セントラルコア病
  • ミオチュブラーミオパチー
  • 先天性筋線維不均等症 など

遠位型ミオパチー

  • 埜中病
  • 三好遠位型ミオパチー

筋強直性疾患

  • 筋強直性ジストロフィー
  • Thomsen病
  • Becker型筋強直症
  • Schwartz-Jampel症候群
  • 先天性パラミオトニア など

炎症性筋疾患

  • 皮膚筋炎・多発筋炎
  • 封入体筋炎
  • ウイルス感染に伴う筋炎
  • マイコプラズマ感染に伴う筋炎 など

周期性四肢麻痺

  • 低カリウム性、高カリウム性

代謝性筋疾患

  • 脂肪蓄積性ミオパチー
  • 糖原病Ⅱ型(Pompe病)
  •  
  • 糖原病Ⅲ型
  • 糖原病Ⅴ型(McArdle病)
  • 糖原病Ⅶ型(垂井病)

重症筋無力症

先天性筋無力症候群

ミトコンドリア病

その他の筋疾患

  • ミオフィブリラーミオパチー、ダノン病
  • 挫滅症候群、悪性高熱、横紋筋融解症
  • 特発性高CK血症 など

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筋ジストロフィーとは

 筋ジストロフィーは筋線維の変性・壊死を主病変とし、進行性の筋力低下をみる遺伝子の疾患であると定義されています。筋肉がもろく壊れやすい状態であり、筋肉の再生が追いつかなくなることで次第に筋肉量が減少し、その結果として筋力が進行性に低下してくる病気です。根本的な治療法は未だ確立されておらず、遺伝子治療、再生医療などの治療研究の応用が強く望まれています。

ジストロフィノパチーとは

 ジストロフィノパチーとは日本語にするとジストロフィン異常症、つまりジストロフィン異常による筋ジストロフィーを指します。X染色体に存在するジストロフィン遺伝子が欠損しているために発症する遺伝性疾患で、重症度の違いなどからデュシェンヌ型筋ジストロフィーとベッカー型筋ジストロフィーに分けられます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーとは

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは筋ジストロフィー症の中でも、頻度が高い病型であり、出生男児約3500人につき1人の割合で発症し、日本では約5000人の患者がいると推測されています。3-4歳で転びやすい、走れないなどの症状で発症することが多いのですが、たまたま血液検査を行ったことがきっかけで、症状のないうちに発見されることもあります。5歳頃から運動機能は徐々に低下して、10歳頃に歩行が困難になります。その後呼吸機能低下や心臓機能低下が出現してきます。

ベッカー型筋ジストロフィーとは

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーに症状は似ていますが、症状の出現時期はデュシェンヌ型に比べると遅く、中には中年以降になってもほとんど症状がみられない場合もあります。

ジストロフィノパチーの診断

 ジストロフィノパチーが疑われた場合には、筋ジストロフィーの診療の経験のある病院・医師の診察をおすすめします。具体的には子供さんであれば小児(神経)科、成人のかたであれば神経内科で対応することが一般的です。ジストロフィノパチーの確定診断にはMLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)という方法を用いたジストロフィン遺伝子診断や筋生検による筋肉の病理検査によって正確な診断を行っていただくことがまず一歩です。それぞれの検査の利点とともに問題点を理解していただいたうえで検査に臨んでいただくことが重要です。

ジストロフィノパチーの治療

 (デュシェンヌ型を基準に記載していますが、他のタイプにも適用が可能なものも多いです)

リハビリテーション

 病気の性質をふまえて将来を見越して、リハビリテーションによって予防できる可能性のあることへの対応と、家庭や学校生活への対処の工夫を中心に行っています。足首の関節の動きが固くなるのを防止するマッサージやストレッチから開始し、座る姿勢の調整、起立訓練などを行っていきます。下肢や脊柱の変形をできる限り少なくし、歩く、座る、寝るなどの動作や姿勢保持をできるだけ保っていくことが目標です。状態に合わせた車椅子の作成は、姿勢保持と活動性の維持のため大変重要と考えています。

ステロイド療法

 特にデュシェンヌ型で病気の進行を遅らせることに有効であることが示されている治療法です。ステロイド内服薬(錠剤、散剤)を毎日、または一日おきに服用していきます。副作用に対する配慮も必要であり、特に肥満を生じやすい点には注意が必要です。ステロイドの内服量の調整、いわゆるさじ加減が重要となってきます。

呼吸機能低下に対する治療

 呼吸をするのも筋肉の力が大きく関わっています。呼吸筋と呼ばれる肋間筋(肋骨と肋骨の間にある筋肉)や横隔膜(胸とお腹を分けている筋肉)の力が弱くなることにより換気が十分にできなくなり、深呼吸ができなくなり、咳の力が弱くなることから風邪をひいたときに痰をうまく出せなくなり重症化する場合があります。呼吸リハビリテーションは、小学校高学年を目安に開始し、本人やご家族に毎日できるように覚えていただくことを目標として、ます。深呼吸や痰を出す練習が、呼吸機能の維持や肺炎などの予防につながります。必要に応じて鼻マスク人工呼吸を行います。

心臓機能低下に対する治療

 心臓も心筋という筋肉からできていますので、心臓機能が低下してくる場合がありますが、心臓は非常に予備力がありますので少々悪くなっても自覚症状に乏しいことが多いです。そのために定期的に心臓機能をチェックしていき、軽い機能低下が見られたころから、薬物療法を始めることが重要です。

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