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脳神経外科

難治てんかんの外科治療

先端画像診断にもとづくてんかんの外科治療 大槻泰介(国立精神・神経医療研究センター病院手術・中央材料部長)

 最近、脳の画像診断が発達し、てんかんの原因となる病変がみつかるようになり、手術でてんかんが治る場合があることが明らかになってきました。しかし、このことはまだよく知られていないため、手術で治る可能性があるにもかかわらず、薬では発作が止まらずに、日常生活や就学・就労で苦しんでいる方が、未だに沢山いらっしゃるのが現状です。

手術で治るてんかん(手術の対象となるてんかん)

 てんかん発作は、大脳皮質の神経細胞が突発的で異常な電気的興奮を起こすことにより起こる症状ですが、最近のMRI(Magnetic Resonance Imaging)やPET(Positron Emission Tomography)などの画像診断技術の進歩に伴い、脳にてんかん発作を引き起こす病変が見つかる機会が増えてきました。

手術で治るてんかんとその特徴
内側型側頭葉てんかん
 嘔気などの前兆と動作停止、無反応、自動症などの発作症状が特徴。MRIで海馬の委縮がある。手術で80~90%の方が発作消失する。
MRI異常を伴う大脳皮質てんかん
 MRIで、腫瘍、血管腫、瘢痕、限局性皮質形成異常などの病変がある。しばしばMRIだけでは異常の判定が難しく、PET、SPECT、MEGなどの画像検査が必要となる。発作症状は、病変のある部位により様々。発作消失率は病変の種類により50~90%と様々。
乳幼児の形成異常を伴う難治性てんかん
 半側巨脳症、スタージウエーバー症候群、皮質形成異常など。発達障害が明らかになる前の治療が望まれる。
脱力転倒発作を伴う難治性てんかん
 転倒による外傷を防ぐ目的の手術。

 このように原因となる病変があるてんかんを「症候性てんかん」と呼び、病変を伴わない「特発性てんかん」と区別します。手術の対象となるは基本的にこの「症候性てんかん」で、抗てんかん薬で発作が抑制されず、病変の部位が明らかで、また手術により大きな脳機能障害が発生しないと判断される場合、外科手術が選択されます。

てんかん原性病変の見つけ方

 てんかんの病態は、脳の血流(SPECT)やブドウ糖代謝(PET)などの画像診断により、直接目で見えるようになってきました。てんかんの原因となっている領域(てんかん原性領域)では発作の間歇期には血流やブドウ糖代謝は低下している場合が多く、一方発作時には高血流・高代謝となる特徴があります。この脳機能画像所見とMRI画像、さらに発作症状や脳波、脳磁図(MEG)の所見を参考にすることで、てんかん原性領域を正確に同定することが可能であり、このことがてんかん外科手術の治療成績の向上に結びついています。

内側型側頭葉てんかんのMRI、SPECT所見画像

皮質形成異常のMRI、PET、発作時SPECT、MEG所見画像

手術で治るてんかんの早期発見と早期治療

 難治てんかんの患者さんでは、薬物や社会生活上の制約に起因する様々な障害が慢性的に蓄積する傾向があり、そのため長期の難治てんかんの場合、仮に手術で発作が治癒したとしてもそれまで蓄積した神経心理学的障害が問題として残ることがあります。一方、特に小児の場合、難治てんかんによって引き起こされた発達障害は、早期の外科治療で発作が消失することで回復する可能性もあり、従って「手術で治療可能な症候性てんかんの早期発見と早期治療」が、現在難治てんかんの治療における重要な課題となっています。

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