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小児神経科 各種の病気の専門診療

てんかん

 てんかんは小児神経疾患中で最も多い病気であり、正確な診断と適切な薬物治療が大切です。発作のタイプにより薬物効果が十分でない場合、外科的な治療もできる可能性があります。

 小児神経科では長時間脳波記録、ビデオ脳波同時記録、種々の画像診断(MRI、SPECT、PET)、MEG等による的確な診断を行います。発作型とてんかん症候群の正確な診断と抗けいれん剤の臨床薬理に基づいて、治療方針を立てます。また薬物治療だけでなく脳神経外科と連携して外科治療にも積極的に対応しています(小児の年間手術数20例前後)。特に、小児神経科医が多い特徴を生かして、きめ細かい術前術後管理を要する乳幼児の手術を多く行っております。

神経難病

 変性・代謝性疾患や遺伝性疾患による神経難病は、これまでの豊富な経験の蓄積と、MRI、SPECTなどの画像診断や脳波・誘発電位などの神経生理学的検査、さらには遺伝子検査などにより、できる限り診断を確定します。また進行する神経難病のケア(気管切開、胃瘻や経管栄養、口腔ネラトン法、訪問看護、レスパイト入院)を積極的に行っています。

 神経研究所とともに、遺伝子治療や酵素補充療法など新しい治療法の開発に取り組んでおります。

筋疾患(筋ジストロフィー、ミオパチーなど)

 筋疾患は比較的まれな病気ではありますが、私たちは専門施設として筋疾患の新規の患者さんの診察を年間100名以上お受けしており、筋生検も年間30-40名ほど行っていますので、必要がありましたらぜひ私どもにご相談いただきたいと思います。まずは正確な診断を行うことが重要・かつ最初のステップと考えています。十分に説明させていただいたうえで遺伝子診断や筋生検といった確定診断につながる検査を行っています。

 診断の後の経過観察やケアにも力を入れています。筋疾患の多くはゆっくりと進行し、現在でも根本的な治療法のない難しい病気ではありますが、理学療法や呼吸リハビリテーション、非侵襲的換気療法(鼻マスク人工呼吸)、デュシェンヌ型などの場合のステロイド療法などの支持療法は少しずつ確実に進歩してきていると思います。そのような意味でも先を見越した経過観察を行うことは非常に重要であり、治らないからとあきらめないでいただきたいと思います。

 疾患の存在を早く前向きにとらえていただき、今できることを着実にやっていただき、生活をエンジョイしていただき、遺伝子治療や再生医療が実現可能な時代にそなえていただきたいと思います。そのようなことに対する援助も私たちのやるべきことと考えています。

 当院ではチーム医療を心がけており小児神経科・神経内科・外科・リハビリテーション科・神経研究所の間で連携をとりながら診療を行っています。遺伝に関するご相談もお受けしています。特に出生前診断に関しては当院にある遺伝カウンセリング外来で相談していただくことをおすすめしています。

 当院かかりつけの患者さんのご家族を中心に筋ジストロフィー家族会が結成されています。定期的に筋ジストロフィー市民講座を開催しています(ホームページに日程を公表します)。

末梢神経疾患

 脊髄や大脳といった中枢神経と筋肉をつなぐ末梢神経が侵される疾患です。症状は筋力低下がみられることが多く、感覚の異常が見られることもあります。いろいろな原因で生じますが、遺伝性ニューロパチーなどの先天的に末梢神経を作っているタンパク質の合成に問題がある疾患や免疫が関係している多発神経炎といったものが代表的な疾患です。診断には電気生理的検査(末梢神経伝導検査や筋電図など)や画像検査などが有用ですが、特に電気生理的検査について習熟している小児科医は極めて少ないと思います。

 わたしたちは多数の患者さまの経験を生かして、複数の検査を組み合わせてできるだけ正確な診断ができるように最善をつくしています。必要があれば末梢神経生検(足の踝の部分の神経を見せていただきます)による病理診断を行っています。

ミトコンドリア病

 ミトコンドリア病は全身の細胞に存在しているミトコンドリアという小器官の異常によって生じる病気です。主に脳や筋肉の症状を示しますが、腎臓、心臓、聴覚器などにも問題が生じる場合もあります。脳MRI, MRS, SPECT(脳血流)、筋生検、遺伝子検索などの検査によって診断を行っていきます。遺伝子検索などの特殊検査は当センター疾病研究第2部で行っています。

免疫性神経疾患

 細菌やウイルスなどの病原体から体を防御する働きのことを「免疫」と呼びます。本来免疫反応は体にとって有益なものですが、時にこれが誤って自分の体を攻撃してしまったり(自己免疫)、激しい免疫反応の副産物として体が被害をこうむったりする場合があります。このようなメカニズムで起こる神経の病気を「免疫性神経疾患」と言います。

 小児では様々な免疫性神経疾患が知られています。代表的なのが多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、重症筋無力症などです。これらは先ほど述べた自己免疫反応が原因と考えられており、免疫反応を調整する治療の有効性が確立されています。

 この他にもラスムッセン脳炎、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群などという病気も免疫の異常が原因と考えられていますし、原因不明のてんかんや不随意運動などにも関係している場合があります。

 当院ではこれらの免疫性神経疾患に対し、MRIなどの画像診断や神経生理学的検査、さらに免疫学的検査などにより診断し、ステロイドパルス療法・ガンマグロブリン大量療法などの専門治療を行っています。

 小児の急性脳炎・脳症は主に感染症に伴って意識レベルの低下やけいれんが起こる病気で、しばしば重大な脳の後遺症を残します。インフルエンザ脳症が有名ですが、免疫の異常によって起こる場合もあることがわかってきています。症状としては意識障害やけいれんの他に、辺縁系脳炎というタイプでは精神症状、記憶障害、不随意運動、睡眠障害なども見られます。当院では急性脳炎・脳症後の患者さんの評価(1週間程度の入院)や、難治な脳炎・脳症後てんかんの治療に取り組んでいます。さらに原因不明の脳炎・脳症に関するセカンドオピニオン外来も設けております。

自閉症、行動異常、学習障害

 自閉症、精神遅滞、学習障害、注意欠陥/多動性障害等の発達障害の検査、診断、治療、療育相談に力を入れています。

 自閉症については、原因疾患の検索と認知機能評価、画像診断法を中心とした発症機序の解明や、行動異常に対する薬物治療やソーシャルスキル・トレーニング法の開発などに積極的に取り組んでおります。

 学習障害や言語発達遅滞については、神経心理学的検査、神経生理学的検査、画像検査によるきめ細かい診断を行い、治療方針のアドバイスや、療育指導への紹介を行っています 。

 これらの疾患群については 家庭や学校・地域における教育指導がきわめて重要で、必須の条件ですが、私たちは医学の立場から精神保健研究所知的障害部とともに、個々のお子様に状態像に応じた治療方針の提案を行い、学校との連携を密にした診療を行っています。

周産期脳障害

 胎児から新生児への時期に生じる周産期障害に対しては、ハイリスク児を早期に発見し、早くから発達促進のための治療を開始します。発達外来を行い、胎児期・周産期脳障害の治療を目指しています。

重症心身障害児(者)

 重症心身障害児(者)の生活の質(QOL)の向上を目指しています。入院中のお子様の療育だけでなく、在宅障害児の支援のために一時入所を行い、レスパイトケアにも積極的に取り組んでいます。また、原因診断、機能評価、合併症の評価と治療を積極的に進め、重症児(者)の原因診断マニュアル、てんかん治療マニュアルを作成中です。

お問い合わせ

 メールにて小児神経に関する質問を受け付けています。お子さまが病気かもしれないと心配な方、あるいはすでにお子さまが他の病院にかかっておられる方もお気軽に御利用ください。

 (ご相談内容は、このホームページ上、あるいは別のところに引用させていただく場合があります。その際はプライバシーに十分配慮します。)

masasaki@ncnp.go.jp

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