睡眠をチェックしてみましょう
 睡眠中に繰り返し呼吸が止まる、または浅くなる疾患です。睡眠中に、大きなイビキ、無呼吸、窒息感やあえぎ呼吸がみられます。無呼吸によって睡眠が分断され、その結果、日中の眠気、作業能力の低下・集中力低下、などがみられます。このような日中の症状によって、学業や仕事に支障がでたり、居眠りのため事故をおこしたりすることもあります。また、無呼吸による夜間の低酸素状態を長期間繰り返すことによって、高血圧症、不整脈、虚血性心疾患などを引き起こします。
 診断のためには、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)が必要です。
 治療としては、口腔内装具(マウスピース)とCPAP治療があります。重症の場合は、CPAP治療が必要です。これは、寝るときに鼻にマスクをつけ、空気を送り込むことによって無呼吸を防止する治療法です。機器が小型化したため、在宅で使用できます。重症でない場合は、マウスピース様の口腔内装具を装着して寝ることによって、無呼吸を防ぐことができます。どちらの治療法も当院で行えます。また、睡眠時無呼吸症候群では肥満が原因となっている場合があり、こうした場合にはダイエットが必要です。睡眠薬やアルコールは睡眠時無呼吸症候群を悪化させますので、やめましょう。
 夜間就床時に、下肢を中心に不快な耐え難い感覚が起こり、このためにじっとしていられず、眠れなくなる疾患です。不快な感覚は、虫がはう感じ、むずむず感、痛い、痒い、痛がゆい、ピリピリ感、など言葉では言い表せない異常な感覚です。この異常感覚のために脚を動かしたくなり、動かすと楽になります。この症状は、必ず夕方〜夜間に悪化します。
 診断は問診によってなされます。周期性四肢運動障害という、周期的に脚がピクンと動くことによって眠りが妨げられる疾患と一緒に起きることが多いようです。周期性四肢運動障害の診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)が必要です。
 この疾患は、鉄欠乏性貧血、慢性腎不全(透析中)、胃切除後、パーキンソン病、多発性神経炎、脊髄疾患、妊娠、精神科の薬、などで誘発されることがあります。
 原因がはっきりしている場合には、その治療が優先となります。薬剤による治療も行われています。
 寝ぼけ行動などが睡眠中に起きる疾患を睡眠時随伴 (ずいはん) 症と呼びます。大きく分けて、ノンレム睡眠中に起きるものと、レム睡眠中に起きるものの2つがあります。
 ノンレム睡眠中に起きるものとしては、睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病)や睡眠時驚愕症(いわゆる夜驚症)などがあり、多くは小児期に見られます。睡眠中に歩き回るほか、布団の上に座るだけのものから、廊下で放尿をしてしまうような目的を持った行動まであります。起こしても覚醒させることは非常に困難です。
 レム睡眠中に起きるものとしては、レム睡眠行動障害(RBD)があります。レム睡眠中には夢を見ることが多いですが、通常は金縛り状態で身体が動くことはありません。レム睡眠行動障害(RBD)では金縛り状態が解除されて身体が動くようになるため、夢内容と一致して寝言や異常行動が起こってきます。激しい寝言や叫び声、けんかや逃げ出すなどの行動がみられます。
 睡眠時随伴 (ずいはん) 症の診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)が必要です。睡眠中に異常行動を来す疾患として、てんかんや意識障害などがあり、診断を確定するためにはPSG検査をしたほうが良いでしょう。
 小児期にみられる睡眠時遊行症は、大人になるまでには自然に消失することが多いようです。
 RBDは、寝言や異常行動を押さえる薬による治療が行われます。
 睡眠・覚醒リズムは、脳にある生物時計によって生み出されています。生物時計が刻むリズムは24時間よりも長いため、毎日の社会生活に合わせながら生活しています。概日(がいじつ)リズム睡眠障害は、生物時計の刻むリズムが社会生活に合わせられなくなることによって起こります。リズムが遅く固定されてしまった状態を睡眠相後退型 (すいみんそうこうたいがた) 、リズムが毎日遅れていく状態を非同調型 (ひどうちょうがた) と呼んでいます。
 睡眠相後退型では、明け方近くにならないと眠ることが出来ず、昼過ぎにならないとどうしても起きられなくなります。
 非同調型では、寝付く時間と起きる時間が、毎日1時間ずつ程度遅れていきます。この疾患では、起きなければならない強い動機があっても、自分の意志で起きられないという特徴を持っています。
 診断は、睡眠日誌やアクチグラフなどで睡眠・覚醒リズムを把握することでなされます。自分にとって楽なスケジュールで生活すると、睡眠・覚醒リズム以外では、症状は消失します。
 治療は、光治療などリズムを整える治療となります。家での治療が困難な場合には、当院では入院して光治療を行っています。
 日中の過剰な眠気を「過眠」と言います。過眠の原因として、睡眠不足や睡眠障害によって良い睡眠がとれないことにより引き起こされる場合と、夜十分に眠っているにも関わらず過眠が引き起こされる場合があります。この、夜十分に眠っているにも関わらず過眠が出てくる疾患を「過眠症」と呼びます。過眠症の眠気は、会議での発表中や、大事な試験の最中に眠ってしまうほど、耐え難く強い眠気です。
 過眠症のなかで、強い感情の動き(大笑い、怒り、驚きなど)によって身体の力が抜けてしまう発作( 情動脱力発作 (じょうどうだつりょくほっさ) )があるものをナルコレプシーと言います。
 診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)睡眠潜時反復検査(MSLT検査)が必要です。まずPSG検査で睡眠障害がないかを確認した後、日中4−5回短時間眠ってもらい眠気がどのくらい強いかを検査します。
 ナルコレプシーの治療としては、薬物による治療が行われます。過眠症全般的に、十分に夜間睡眠をとること、日中の仮眠を上手にとること、などの生活上の工夫が必要となります。
 寝付きが悪い、途中で起きてしまう、朝早く起きてしまう、熟睡できない、などの不眠症状が続き、日中にも眠気や集中力の低下、倦怠感、食欲不振など心身の不調が生じる疾患です。
 診断は問診によってなされます。多くの場合、不眠症状と日中の症状に加え、不眠に対する過剰な不安や緊張がみられ、寝室に入っただけで条件反射的に緊張してしまうことが見られます。他の睡眠障害によって眠れないことが疑われる場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を施行します。
治療は、まず睡眠習慣などの見直しから行います。薬物治療の他、認知行動療法も行っています。