統合失調症の治療の標準化と普及に関する研究
全国10ヶ所の精神科医療施設と連携をとりつつ,統合失調症患者の家族や本人への心理教育の効果について科学的根拠に基づく実証研究を継続しています.平成21年度は「心理教育を中心とした心理社会的援助プログラムガイドライン」に基づき,新たに施設で心理教育プログラムを実施するにあたって有用と思われるツールキットのうち,テキスト(本人版・家族版)の作成を行いました.(伊藤順一郎,大嶋 巌,英 一也,他)
思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究
ひきこもりは,我が国における青少年をめぐる最重要課題の一つであり,我が国には50万人以上のひきこもりがいるとの報告もあります.ひきこもりを呈している子どもの中には,医療などの相談機関へも来所することができず,保護者のみが相談に訪れることも少なくありません.そのような子どもに対する,訪問型のサービスは実施されてはいるものの,現状では充分ではなく,その効果についての検討もなされていません.
本研究では訪問型のアウトリーチチームを形成し,その効果を検討します.平成21年度末までにエントリーされたケースの追跡調査の結果,比較的良好な経過をたどっていることが明らかになり、病院からのアウトリーチ支援の有効性が示唆されました.本研究報告については、同研究の平成21年度報告書および総括報告書としてとりまとめました.(伊藤順一郎,瀬戸屋雄太郎,吉田光爾,他)
精神障害者の認知機能障害を向上させるための「認知機能リハビリテーション」に用いるコンピュータソフト「Cogpack」の開発とこれを用いた「認知機能リハビリテーション」効果検討に関する研究
近年,統合失調症における認知機能障害の改善に対して認知機能リハビリテーションの効果が期待されている.そこで本研究では,@神経心理学的変数およびA賃金や就労期間などの就労関連指標をアウトカムとし,統合失調症患者に対する認知機能リハビリテーションの効果検討を実施することを目的としています.
現在@神経心理学的変数をアウトカムとしたRCTは当センターを含む全国6病院で実施されており,スタッフの習熟度の高い施設において患者の言語性記憶や遂行機能に効果があることが示唆されています.またA賃金や就労期間などの就労関連指標をアウトカムとした研究は当センターを含む全国11病院で実施されており,データ収集中です.今後認知機能リハビリテーションが就労に与える影響について検討を行っていきます.(伊藤順一郎,佐藤さやか,他)
生活訓練の実態調査および生活訓練(訪問型)研修の開発
吉田は,厚生労働省障害者保健福祉推進事業 訪問型生活訓練事業の人材育成と支援内容の評価・モニタリングに関する調査研究事業』(委託先 特定非営利活動法人 ほっとハート)に協力し,全国の生活訓練事業所に関する支援実態および研修ニーズ把握の調査,ならびにその成果に基づく研修プログラムの開発・実施を行いました.(吉田光爾)
ひきこもり支援グループの機能・構造と効果・回復に関する質的研究
ひきこもり本人のグループについては,本人の社会復帰への支援効果が期待される反面,その支援の方法論や得られるとされている効果については,経験則に基づいており,不明瞭であるという点があります。本研究では,この支援の構造・機能と効果を明らかにするため,ひきこもり本人のグループの支援団体に対する,グラウンデッドセオリーに基づく質的全国調査を実施しました.(吉田光爾)