PTSDに対する持続エクスポージャー療法の効果に関する研究
現在各国のガイドラインでPTSDに対する治療法として最もエビデンスがあるとされています,持続エクスポージャー療法(Prolonged Exposure Therapy)の治療効果についてのRCTを実施中です.(金,中島,伊藤,島崎,岡島)
治療研究参加者募集(リンク)
家庭内暴力(DV)被害者の支援に関する研究
東京女子医科大学女性生涯健康センターとの研究協力により,家庭内暴力の被害を受けた母親と子どもの中長期的な精神状態の変化と,支援のあり方についての研究を行っている.(金)
交通外傷後の精神健康に関するコホート研究
我われは、都内の救命救急センター(文献)?に交通外傷の治療目的で搬送される重傷者を3年間追跡し、精神疾患とQOLを検討するコホート研究(文献)を行っています。これまでに、事故1ヶ月時点において3割の患者が何らかの精神疾患の診断基準を満たし、事故時に生命への脅威を感じた人、入院時の心拍数が高かった人、恐怖記憶の症状が強かった人ほど精神疾患を発症しやすいということが分かりました(文献?,?文献)。精神疾患はQuality of Lifeにも影響を及ぼしていることも分かりました(文献)
事故後PTSDの有病率は、研究方法が確立された先進諸国の間でも差があります。そこで、我われは、日本の事故6カ月時点のPTSD有病率(5.7%)を明らかにしたうえで、医療技術や公衆衛生の水準および生活水準などを反映する乳児死亡率が各国間の有病率の相違と関連しているかどうかを検討しました。その結果、乳児死亡率が高い国ほど事故後PTSDの有病率が高いという生態学的関連を見出しました(文献)。(松岡、金)
新潟県中越地震および中越沖地震における地域住民の精神健康追跡調査
新潟県小千谷市および柏崎市,刈羽村、出雲崎町における住民の精神健康調査を実施した.(金,中島,鈴木)
Peritraumatic Distress Inventory日本語版の信頼性と妥当性の検証
外傷体験直後の苦痛を包括的に評価する自己記入式質問紙Peritraumatic Distress Inventory (PDI)日本語版を作成し、その信頼性と妥当性を検討しました。その結果、PDI日本語版は内的一貫性、再試験信頼性、外的妥当性、弁別妥当性がいずれも高いことが示されました(文献)。さらに、PDI日本語版はPTSD発症のリスクが高い者と低い者を予測する上でも有用であることを検証しました(文献)。(松岡,金)
ω3系脂肪酸によるPTSD予防法の開発
交通事故や転落などで重傷を負うと、PTSDを発症する危険があります。我われは、ω3系脂肪酸による海馬の神経新生促進が、海馬依存性の恐怖記憶減弱を介してPTSD発症予防に働くとの仮説を立て、ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験(RCT)を行っています。RCTに先立って実施したオープン試験の結果、ω3系脂肪酸はPTSD発症予防に有効である可能性が示唆され、世界に先駆けて発表しました(文献)。(松岡)
複雑性悲嘆の認知行動療法の効果に関する研究
米国のShear博士によって開発された複雑性悲嘆の認知行動療法の効果を日本人の遺族において検
証することを目的としている.今年度は,Shear博士の研修会に参加して治療技法の習得を行うと共に,治療効果の指標である複雑性悲嘆尺度の日本語版を作成した.(中島,白井,伊藤,石丸,寺島,金)
性暴力被害者の急性期心理ケアプログラムの構築に関する研究
産婦人科医療現場での性暴力被害者の治療の実態と産婦人科医師の意識を調べるため日本女性心身医学会に所属する産婦人科医師341名を対象に自記式調査を行った(回収率49.9%).過去に性暴力被害者の診療を経験のある医師は81.3%であり,73%は治療に関心を持っていたが,スタッフ数や照会先精神科医療機関の不足を感じている割合が高く,精神科との連携には乏しいことが明らかにされた.(中島,伊藤,金)
恐怖記憶の形成とその背景脳活動に関する研究
PTSD発症プロセスを解明するために,恐怖記憶想起における脳活動の特徴を,健康成人を対象に交通事故映像を刺激として機能的MRIにより検討した.恐怖記憶の想起には情動想起と出来事想起とで異なるパフォーマンスを示した.事故に関連した想起には補足運動野の活動が特異的に高まり,情動記憶の強化には前帯状皮質の活動上昇が関連していることが示唆された.さらに,トラウマ記憶は,無意識的・潜在的に想起されることが知られている.このため,恐怖刺激と非恐怖刺激とで潜在的想起過程に差があるか,サスペンス映画を記銘課題としERPの早期成分を脳活動指標として用い検討した.恐怖記憶は非恐怖記憶に比べ潜在想起が促進される傾向があり,言語化過程を経た想起においてより処理が早まることが示唆された.(栗山)
睡眠剥奪が時間知覚に及ぼす影響,恐怖記憶の形成に関る不眠の影響に関する研究
時間知覚は概日変動を示すが,睡眠剥奪によりこの変動が減衰することが示唆されている.この現象に前頭葉活動の変化が関与していることが推測されるため,近赤外線スペクトロスコピーを用い時間知覚変化と前頭葉活動変化との関係を検討した.時間知覚変動の減衰と左側前頭極の活動上昇とが相関を示し,これは徹夜による前頭葉の機能代償の結果であることが示唆された.また,ストレス性障害に不眠を合併する率は極めて高く,不眠のストレス性障害発症もしくは症状推移に与える影響は無視できない.このため,睡眠剥奪により恐怖記憶の形成・強化に与える影響を機能的MRIを用い検討中である.(栗山)
恐怖条件付けの形成・消去過程におけるD-サイクロセリン, バルプロ酸の効果の検討
PTSDの病態に恐怖条件付け過程が関与していることが想定されている.マウスの条件付け消去においてD-サイクロセリンおよびバルプロ酸が消去過程を促進することが示唆されており,ヒトでもこれらの薬剤が恐怖条件付けの消去に有効であるか,脳波及び行動指標にて検討中である.(栗山,金)
精神障害に対する偏見・差別除去に関する介入研究
精神障害をもつ人びとが経験した差別に関する国際共同研究,INDIGO研究に参加した.なおこの親研究はLancet紙で発表された.日本の参加者データについて,親研究と別途分析して,量的および質的に分析をした.また,精神疾患に関する差別除去の目的で,臨床研修医を対象にメンタルヘルス・ファーストエイドプログラムの実証研究を行った.(鈴木)
健康危機体制における精神保健支援の在り方に関する研究
全国の保健師や精神保健福祉センターを対象として,災害時の精神保健対応に関する準備状況 について自己記入式調査を行った.精神保健対応のニーズは把握しているものの,具体的な準備体制の研修の整備は限定的であることが明らかになった.(鈴木,金)
メンタルヘルス・ファーストエイドに関する介入研究
精神科以外の医師や対人サービス職にある人を対象に、精神健康の危機状況に対応するスキル向上を目指す、メンタルヘルス・ファーストエイドプログラムの日本語版を開発した。その実証研究として、臨床研修医を対象に効果評価研究を行っている.(鈴木)
犯罪被害および災害被災者に対する心理ケアプログラムの開発研究
心理的応急処置(PFA)に代表される急性期心理介入プログラムを参考に、日本の現場に即した①犯罪被害後と②大規模災害・事故後の対応技法に関する研修プログラムを開発し、その内容の適切性、有効性について精神保健の非専門家を含む支援者によって評価し、支援者が入手しやすいようにインターネット上で使用できるプログラムの開発を行っている.(中島、鈴木、金)
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