鈴木友理子SUZUKI Yuriko, MD, MPH, Ph. D.)

災害等支援研究室長 医学博士、公衆衛生学修士

略歴

 山形大学医学部、同大学院、UCLA公衆衛生大学院修士課程修了。2005年6月より、国立精神・神経センター精神保健研究所室長、2006年10月より現職。
 主な仕事は、自然災害後のメンタルヘルス研究であり、大学や行政機関と連携して支援、健康調査の計画、実施に関する技術支援、地域住民や行政職員等の研修および研究などを行っています。
 また、2006年より、メンタルヘルス・ファーストエイドの日本への導入に携わり、プログラムの導入、効果評価研究、普及を行っています。

所属学会・学会活動

-所属学会
日本精神神経学会、日本公衆衛生学会、日本疫学会、日本トラウマティックストレス学会、等
-学会活動
日本公衆衛生学会編集委員 日本トラウマティックストレス学会国際委員

研究テーマ

災害時のこころの健康に関する研究

研究の概要

大規模災害時の地域住民のこころの健康状態を調査し、彼らの回復を促進するサービス体制の構築に関する研究を行っています。災害時の精神保健技法向上を目的とした研修プログラムの開発、その効果に関する実証研究、そしてシステムの構築に関する研究を行っています。
また、災害時の支援、アジア諸国や国際機関を通じての災害精神保健ネットワークの構築、そして国際精神保健の仕事に携わっています。

研究の内容

新潟県中越地震における地域住民の精神健康追跡調査  
身体疾患と精神疾患には相互に関係していることが報告されていますが、災害の前後でこれらの関係が検討されたことはあまりないのが現状です。そこで、震災前の健康診査における身体健康指標が、大規模災害後の精神健康をどのように予測するかを検討しています。新潟中越地震(2004年10月)で甚大な被害をうけたA市における市の基本健康診査受診された方を対象として、過去30日間の非特異的な精神的ストレスと血圧(収縮期、拡張期)、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血糖、HbA1c, 被災の程度、社会経済的変数、健康関連行動などの関係を検討しています。この研究は、厚生労働科学研究こころの健康科学事業「大規模災害や、犯罪被害等による精神科疾患の実態把握と介入手法の開発に関する研究」の分担研究として行われています。

中越沖地震後の地域住民の身体健康と精神健康の関連に関する研究  
大きな災害後、長期間にわたって人々の健康状態を見守っていくことは大切であると言われています。そこで、新潟県、被災された市町村、そして新潟県精神保健福祉協会こころのケアセンターが実施している、こころと身体、そして生活状況に関する調査の計画、解析、報告書作成に協力しています。これは、中越沖地震の被災地域にお住まいの15歳以上の方を対象とした郵送調査で、震災後3年間実施する予定です。被災された市町村、そしてこころの健康については、ストレスを感じている人の割合やうつや不安が高まっている人の割合は、全国調査の数値と比べても若干多い状態でした。また、調査にご協力いただいた方のうちの4分の1の方が、体調の悪化を感じていらっしゃいました。このように、現地の方の精神保健計画立案の一助となる調査、支援等を行っています。

健康危機管理体制における精神保健支援のあり方に関する研究  
自然災害、人為災害等による健康危機時に、円滑に精神保健の支援体制が構築できるように、精神保健福祉センターおよび保健師等による精神保健支援のあり方を検討しました。災害時の精神保健支援に関する国内外の既存のガイドラインやマニュアル類を系統的にレビューし、そのうえで、精神保健福祉センターと保健師や看護師を対象とした、精神保健支援対応に関する準備状況の調査を行いました。精神保健福祉センター等では、災害時のこころのケアの重要性を認識していますが、組織的な準備状況としては十分ではなく、また、保健師等らも、こころのケアに関する知識と自信は必ずしも十分ではなことが明らかになりました。これらの結果に基づき、災害時の精神保健支援体制に関するガイドラインや研修プログラムの開発に取り組んでいます。この研究は、厚生労働科学研究こころの健康科学事業「大規模災害や、犯罪被害等による精神科疾患の実態把握と介入手法の開発に関する研究」、および厚生労働科学研究健康安全・危機管理対策総合研究事業「健康危機管理体制における精神保健支援のあり方に関する研究」の分担研究として行われています。

犯罪被害および災害被災者に対する心理ケアプログラムの開発研究  
心理的応急処置(PFA)に代表される急性期心理介入プログラムを参考に、日本の現場に即した①犯罪被害後と②大規模災害・事故後の対応技法に関する研修プログラムを開発し、その内容の適切性、有効性について精神保健の非専門家を含む支援者によって評価し、支援者が入手しやすいようにインターネット上で使用できるプログラムの開発を行っています。

メンタルヘルス・ファーストエイドに関する介入研究
精神科以外の医師や対人サービス職にある人を対象に、精神健康の危機状況に対応するスキル向上を目指す、メンタルヘルス・ファーストエイドプログラムの日本語版を開発しています。その実証研究として、臨床研修医を対象に効果評価研究を行っています。

主な業績

1) Suzuki Y, Fukasawa M, Obara A, Kim Y. Burnout among public servants after the Great East Japan Earthquake: decomposing the construct aftermath of disaster. J Occup Health. 2017 (March) 59: 156-164.
2) Suzuki Y, Yabe H, Horikoshi N, Yasumura S, Kawakami N, Ohtsuru A, Mashiko H, Maeda M; Mental Health Group of the Fukushima Health Management Survey. Diagnostic accuracy of Japanese posttraumatic stress measures after a complex disaster: The Fukushima Health Management Survey. Asia Pac Psychiatry. 2016 Aug 9. doi: 10.1111/appy.12248.
3) Suzuki Y, Yabe H, Yasumura S, Ohira T, Niwa S, Ohtsuru A, Mashiko H, Maeda M, Abe M; Mental Health Group of the Fukushima health management survey. Psychological distress and the perception of radiation risks: the Fukushima health management survey. Bull World Health Organ. 2015 Sep 1;93(9):598-605. doi: 10.2471/BLT.14.146498. Epub 2015 Jun 15.
4) Fukasawa M, Suzuki Y, Nakajima S, Asano K, Narisawa T, Kim Y. Systematic Consensus Building on Disaster Mental Health Services After the Great East Japan Earthquake by Phase. Disaster Med Public Health Prep. 2015 Aug;9(4):359-66. doi: 10.1017/dmp.2015.13. Epub 2015 Apr 23.
5) Fukasawa M, Suzuki Y, Obara A, Kim Y. Relationships Between Mental Health Distress and Work-Related Factors Among Prefectural Public Servants Two Months After the Great East Japan Earthquake. Int J Behav Med. 2015 Feb;22(1):1-10. doi: 10.1007/s12529-014-9392-8.
6) Suzuki Y, Kato TA, Sato R, Fujisawa D, Aoyama-Uehara K, Hashimoto N, Yonemoto N, Fukasawa M, Otsuka K. Effectiveness of brief suicide management training programme for medical residents in Japan: a cluster randomized controlled trial. Epidemiol Psychiatr Sci. 2014 Jun;23(2):167-76. doi: 10.1017/S2045796013000334. Epub 2013 Jul 18.
7) Suzuki Y, Fukasawa M, Obara A, Kim Y. Mental health distress and related factors among prefectural public servants seven months after the great East Japan Earthquake. J Epidemiol. 2014;24(4):287-94. Epub 2014 May 24.
8) Fujisawa D, Suzuki Y, Kato TA, Hashimoto N, Sato R, Aoyama-Uehara K, Fukasawa M, Tomita M, Watanabe K, Kashima H, Otsuka K. Suicide intervention skills among Japanese medical residents. Acad Psychiatry. 2013 Nov;37(6):402-7. doi: 10.1176/appi.ap.10110154.
9) Fukasawa M, Suzuki Y, Nakajima S, Narisawa T, Kim Y. Similarities and differences of systematic consensus on disaster mental health services between Japanese and European experts. J Trauma Stress. 2013 Apr;26(2):201-8. doi: 10.1002/jts.21787. Epub 2013 Mar 19.
10) Suzuki Y, Fukasawa M, Nakajima S, Narisawa T, Kim Y. Development of disaster mental health guidelines through the Delphi process in Japan. Int J Ment Health Syst. 2012 Jul 2;6(1):7. doi: 10.1186/1752-4458-6-7.

翻訳
1) 伊藤順一郎,鈴木友理子,他、監訳.アメリカ連邦政府 EBPツールキット日本語版第1・2巻ACT・包括型地域生活支援プログラム.日本精神障害者リハビリテーション学会, 2009.
2) 鈴木友理子訳. 第7章 プログラムアウトカムを測定し、モニタリングをする pp192-217. In 大島巌, 平岡公一, 森俊夫, 元永拓郎 監訳. プログラム評価の理論と方法―システマティックな対人サービス・政策評価の実践ガイド― (Evaluation), 日本評論社, 東京, 2005.
3) 鈴木友理子(分担訳).第7章 地域精神保健機関におけるIPSの構造.障害をもつ人たちのワーキングライフ.IPS: チームアプローチに基づく援助付き雇用ガイド.大島巌, 松為信雄, 伊藤順一郎監訳.金剛出版.東京.pp. 70-102. 2004.
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