研究部概要
社会精神保健研究部では、精神科医療における評価や質改善に関する「保健医療サービス研究」を行っています。(1)融合領域研究(循環器疾患や糖尿病等)、(2)管理研究(医療の質、医療安全)、(3)政策研究(自殺対策、診療報酬、家族・地域研究)などを中心に行っています。平成18年度からは、全国の精神科救急・急性期病棟と薬剤処方・行動制限最適化プロジェクトを、平成21年度からは身体疾患と精神疾患との関連研究プロジェクトを新たに開始しました。臨床医と研究者によるこれらのプロジェクトは、この領域の多施設臨床研究の国際的なプラットホームとなり、精神科医療の継続的な質の改善の推進力となることが期待されています。
◆身体疾患と精神疾患との関連(融合領域の研究・臨床支援)
- 循環器疾患患者のうつ対策(国立循環器病研究センター・日本循環器心身医学会との共同プロジェクト)
- 循環器疾患患者の5人に1人はうつ(depression)を併発し、併発した場合の生命予後の悪化は国際的な共通認識です。うつの評価と適切な支援のための臨床研究を実施し、ガイドラインの策定を進めるとともに、並行して研究会・研修会を開催して成果の均てん化を進めています。
- 糖尿病患者への精神科的支援(国立国際医療研究センターとの共同プロジェクト)
- 糖尿病の診療場面でうつ病の診断面接を行い、自記式質問紙での回答と関連を確認するなど、糖尿病患者のうつについての臨床研究を進めています。
- 向精神薬の身体への影響
- 抗精神病薬等の向精神薬の身体への影響を、DPCデータ*や医薬品医療機器総合機構への副作用報告を用いて分析・報告しています。
*特定機能病院等の急性期病院での診療報酬請求に採用されているDiagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System (DPC/PDPS)のデータ。傷病名と診療行為の組合せから分類されている診断群分類で、一般病床約90万床の半数以上がこの支払方式により診療報酬を請求。
◆向精神薬処方・行動制限(精神科医療の質の維持向上)
- 向精神薬処方・行動制限の最適化研究(国立病院機構病院・日本精神科救急学会等との共同プロジェクト)
- 精神科医療の質の評価と改善の活動を、日本精神科救急学会等と連携しながら、全国の参加協力病院と進めています。国際的プラットホームづくりに参画しながら評価指標の開発を進めており、2009年には行動制限(隔離・身体拘束)の施行と精神科救急医療の実施を測定できるシステム(eCODO**)を開発しました。eCODOはすでに国公立・民間精神科病院で導入が進められています。2012年には3か月ごとに国立精神・神経医療研究センターにあるセンターサーバに匿名化したデータを提供いただき、その施設の参加病院の中での特徴をフィードバックできるシステムが稼働する予定です。また最新の技術・情報の普及を願い、全国の精神科医・精神科スタッフを対象とした精神科医療評価・均てん化研修を毎年開催しています。
**eCODO: Coercive measures Database for Optimization
◆政策研究一般
- 自殺ハイリスク患者の実態と支援に関する研究(日本臨床救急医学会との共同プロジェクト)
- 医療法および医療経済に関する研究(厚生労働省の施策支援)
- 医療政策立案に資する研究を推進しています。平成18(2006)年に成立した自殺対策基本法の関連では、一般救急に搬送される自殺未遂者へのケアの手引きを日本臨床救急医学会と共同で開発しました。この手引きは厚生労働省のホームページ上で公開されており、手引きを用いた研修が始まっています。同様に、医療法(都道府県が策定する医療計画)、健康保険法(診療報酬)、および精神保健福祉法(医療部分)について、よりよい制度設計に寄与すべき、政策研究を進めています。
◆政策研究:家族・地域研究
- 家族・地域研究室では、政策研究を進めています。具体的な研究領域は、障害者が暮らす地域社会の研究、医療者と利用者のコミュニケーションの研究、および交通バリアの研究です。
Topics
- 2011年12月05日
- トップページ、eCODOセンターページを更新しました。
- 2011年11月01日
- 「精神科臨床指標に関する研究班報告会」のご案内
- 2011年06月03日
- 公示文書を更新しました。


