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・守口善也(心身医学研究部)がAmerican Psychosomatic Society Early Neuroscience Award (Budapest, Hungary, 2007年3月)と日本心身医学会第5回池見賞(2007年5月)を受賞しました.

アレキシサイミア(失感情症) における脳内での情動処理機構に関する脳機能画像研究

 失感情症(アレキシサイミア)はSifneos PEが1972 年に最初に提唱した性格特性である。自己の感情(情動)への気づきや,その感情の言語化の障害,また内省の乏しさといった点に特徴があると言われている。心身症の発症の仕組みの説明に用いられる概念であるが、近年は、衝動性や他人への共感能力の欠如など、ストレス対処や対人関係を巡る問題との関連が研究されている。
 私どもは、このアレキシサイミアを対象に、さまざまな他者理解に関わる課題を用いて(心の理論、共感、ミラーニューロン)脳機能画像(機能的磁気共鳴画像:fMRI)の研究を行なってきた。その結果、興味深いことに、自己、及び他者の心を表象することは、自分とは一端離れた視点perspectiveを持つ必要がある点において共通していることを明らかにし、アレキシサミアにおける自己の客体化およびメタ認知metacognitionの障害という特徴を明らかにした。さらには、アレキシサイミアでは神経学的に他者に対する種々の認知の障害の関与も示唆され、自己・他者の理解の障害は相互に密接に関係していることを脳機能画像上で明らかにした。
 これは心身症研究においてばかりか、広く精神疾患研究への新たな視点を加えることに寄与するものと考えられる。またアレキシサイミアは時に日本語で「失感情症」と訳されるが、決して無感情といったものではなく、私どものこころとからだ、自己と他人の関係を理解する上でも、重要なキー概念であることを示す結果となった。(守口善也研究員が表記の受賞を受けた)

 Moriguchi Y, Decety J, Ohnishi T, Maeda M, Mori T, Nemoto K, Matsuda H, Komaki G. Empathy and judging other's pain: an fMRI study of alexithymia. Cereb Cortex, 17(9):2223-34. 2007
 Moriguchi Y, Ohnishi T, Lane RD, Maeda M, Mori T, Nemoto K, Matsuda H, Komaki G. Impaired self-awareness and theory of mind: an fMRI study of mentalizing in alexithymia. Neuroimage, 32(3):1472-82, 2006

Neural respose to mentalizing task Neural respose to painful pictures