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・樋口重和(精神生理部)が日本時間生物学会第5回学術奨励賞を受賞しました(2007年11月).

生活環境光によるヒト生体リズムの調節作用とその個体差に関する研究

1) IT社会の進展にともなう夜間のパソコン利用と睡眠に関する研究1), 2)
 生活の夜型化が進むひとつの原因として,IT技術の進展とパソコンの一般家庭への普及が考えられる.樋口らはディスプレイ注視にともなう光曝露にも着目し,明るいディスプレイを利用した夜間のVDT作業がメラトニン分泌,自律神経活動,睡眠に及ぼす影響を調べた.結果として,明るい画面で集中したVDT作業を行っている最中は,メラトニンの分泌が抑制され,体温や自律神経活動にも影響がでること,集中したVDT作業が入眠を遅らせ,レム睡眠の減少を引き起こすことを明らかにした.
2) メラトニン分泌の光抑制を指標とした光感受性の個体差研究3), 4)
 現代社会において夜間の人工照明が生体リズムを乱す原因となり得るが,その影響には個体差があると考えられる.樋口らは,メラトニンの光抑制には季節差があり,冬季で光に対する感受性が高まることを明らかにした.また,メラトニンの光抑制には民族差があり,欧米人はアジア人に比べて感受性が高いことが明らかとなった.これらの研究成果は概日リズム障害や季節性感情障害の患者の光照射療法の基礎データに資すると考えられる.

1. Higuchi et al. (2003) Effects of VDT tasks with a bright display at night on melatonin, core temperature, heart rate, and sleepiness. J Appl Physiol 94(5): 1773-1776
2. Higuchi et al (2005) Effects of Playing a Computer Game Using a Bright Display on Pre-Sleep Physiological Variables, Sleep Latency, Slow Wave Sleep and REM Sleep. J Sleep Res 14(3): 267-273
3. Higuchi et al (2007) Less exposure to daily ambient light in winter increases sensitivity of melatonin to light suppression. Chronobiol Int 24 (1), 31-43.3.
4. Higuchi et al (2007) Influence of eye colors of Caucasians and Asians on suppression of nocturnal melatonin secretion by light. Am J Phyiol Regul Integr Comp Physiol, 292, R2352-2356

メラトニン分泌