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・西村大樹(心身医学研究部)が第50回日本心身医学会において第7回池見賞(2009年6月)を受賞しました.

Psychological and weight-related characteristics of patients with anorexia nervosa- restricting type who later develop bulimia nervosa  BioPsychoSocial Medicine 2008, 2:5

 摂食障害は若年女性を中心に増加しているにもかかわらず、長期予後を見ると、病型によっては死亡率が15%を超えるなど、社会的にも看過できない疾患である。特に、神経性食欲不振症制限型(AN-R)で発症した患者は、その経過中にむちゃ食いや排出行動が出現し、神経性過食症(BN)へ変化しやすく、治療にも難渋することが報告されている。病型変化前の早期にこの可能性を予想できるならば治療上有用であると考えられる。そこで、このような病型変化と関連する心理学的特徴と身体関連特徴について検討した。
 その結果、AN-RからBNへと変化した患者は、病型変化しなかった患者に比べ、調査時BMI ならびに過去の最高BMIが共に高く、もともと太りやすい傾向があることが示唆された。また、心理的特徴として、多次元完全主義尺度MPS因子の“親からの批判”得点が高いこと、気質と性格の7次元モデル質問紙TCIの“自己志向”得点が低いことが明らかとなった(表1)。さらにこれらの心理的特徴はBDI-II抑うつ得点と関連していた。
 以上、本研究は摂食障害の病型移行に着眼した点がユニークである。一般に難治とされる摂食障害の中でも、過食・おう吐などを主とするBNには臨床家も治療に苦労している。今回の結果は、その早期発見・予防に道を開くものであり、臨床的にも極めて有意義なものと言える。広く摂食障害の治療に取り組んでいる臨床家にとり、新たな視点を与えることとなった。(西村大樹流動研究員が表記の受賞を受けた)