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・曽雌崇弘(成人精神保健部)が第16回日本時間生物学会学術大会において優秀ポスターを受賞しました。

第16回日本時間生物学会学術大会 優秀ポスター発表賞
睡眠剥奪によるヒト短時間知覚の変動と前頭前野の血流動態変動の関連
“Prefrontal vulnerability to sleep deprivation influences short time perception change”

Takahiro Soshi, Kenichi Kuriyama, Sayaka Aritake, Minori Enomoto, Akiko Hida, Miyuki Tamura, Yoshiharu Kim, Kazuo Mishima

 時間の感覚は,恐ろしい時は長く感じ,楽しい時は短く過ぎるように,状況によって変化する.数秒間という短い時間感覚は,物差しのような役目を果たす基本的単位であり,状況変化の無い単調な環境下では,体内環境を一日のリズムに合わせて調整するシステムと同調して約24時間周期の日内変動を示すことが,我々の以前の研究から分かっている.しかし,徹夜の翌日,眠りが足りない状況では,その日内変動が減衰し,体内調整システムと同調しなくなることが知られている.一方,徹夜をすると,前頭葉の活動が乱れ,認知や思考が充分に働かなくなってしまうことも示されている.本研究では,徹夜の後に起こる時間感覚の日内変動の減衰には前頭葉活動の乱れが関係しているという仮説に基づいて,近赤外分光脳活動計測装置を用いて短時間知覚の実験を行った.

 健康な成人男性18名に対し,1日間隔で,睡眠と徹夜を行う4日間の実験を行った.実験参加者は,午後9時と翌朝午前9時に10秒産出課題(ヒントが与えられない状況で,10秒が経過したと判断した時にボタンを押す)を行った.徹夜後の時間感覚は,普通に寝た場合に比べて日内変動が減衰した.この時の前頭葉の活動は,普通に寝た場合に比べて,左前頭葉(左前頭前野前方部)において活動の増加がみられた(図参照).左前頭葉の活動が増加するほど時間感覚が長くなるという関係が見られ,左前頭葉は,徹夜により落ちた活動を補い,普通に寝た時と同じレベルに時間感覚を戻そうとする機能を持っていることが示唆された.

睡眠剥奪によるヒト短時間知覚の変動と前頭前野の血流動態変動の関連 徹夜後に10秒産出課題を行った場合は,普通に寝たあとに課題を行った場合に比べて,左前頭葉活動が増加した.(赤色は脳活動が高い部位。青色に近づくにつれて脳活動が低くなることを示す。)