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・栗山健一(成人精神保健部)が第34回日本睡眠学会学術大会において第14回睡眠研究奨励賞を受賞しました。

第14回睡眠研究奨励賞  第34回日本睡眠学会学術大会
‘Sleep accelerates the improvement in working memory performance.’
睡眠が作働記憶能力の向上を促進する

Kenichi Kuriyama, Kazuo Mishima, Hiroyuki Suzuki, Sayaka Aritake, Makoto Uchiyama
The Journal of Neuroscience 28(40): 10145-10150. 2008.

 あらゆる生物の中で、前頭葉が最も発達している生物がヒトであり、ヒトの複雑な認知・思考過程を特徴づける脳部位が前頭葉である。前頭葉は様々な認知・思考に関与しているが、その中心的な認知・思考単位が作働記憶であると考えられている。

 言葉や図形、音、匂いなどの記憶や単純な動作スキルの向上に睡眠が重要であることが知られているが、前頭葉を働かせるような複雑な思考能力の向上における睡眠の関りは明らかになっていなかった。しかし本研究の結果から、こうした前頭葉能力の向上にも睡眠が重要であることが明らかとなった。本研究では、20~30歳の健康成人を対象に、作働記憶課題を7~10時間の間隔をあけて繰り返し3回トレーニングをしたところ、トレーニングの間に睡眠をはさんだ場合のみ作働記憶課題成績が著しく向上し、睡眠をはさまない区間ではトレーニングの効果は少なかった。

 作働記憶課題のトレーニングにより成績が向上すると、知能(IQ)テストの成績も同時に向上することが他の研究により報告されており、学習を勤勉に行うことと同時に睡眠を適切にとることが、知能向上には必要であることがわかった。この結果は、小児・青年期の脳の発達が活発な年代で知能を向上させる学習や、何らかの原因で前頭葉に障害を負い、認知・思考能力の低下した方へのリハビリテーションにおいても、睡眠を工夫することで効率を上げる事が出来る可能性を示唆している。