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・安藤哲也(心身医学研究部)の論文がFaculty of 1000に、医学、生物学分野の論文でのトップ2%にあたるものとして推薦され、紹介されました。

Ando T, Komaki G, the Japanese Genetic Research Group for Eating Disorders et al.: A ghrelin gene variant may predict crossover rate from restricting type anorexia nervosa to other phenotypes of eating disorders: a retrospective survival analysis. Psychiatr Genet 20:153‐159, 2010.

 摂食障害(神経性食欲不振症ANや神経性過食症BN)では時間経過とともに別の病型に移行すること(diagnostic crossover)がよく知られています。特に制限型ANの約50~60%が経過中にむちゃ喰い/排出型のANに、約30~%がBNに移行するといわれ、予後にも大きな影響を与えます。しかし、その予測因子については不明な点が多いため、個々の摂食障害患者で将来、症候の変化や病型の移行が起こるか否かを予測できれば、治療に大変有益です。
 そこで安藤室長らの食欲刺激物質グレリンの遺伝子の多型に関する先行研究の知見(Am J Clin Nutr, 2007)から摂食障害患者のグレリン遺伝的多型を調べることで病型移行を予測できるのではないかと仮説をたてました。摂食障害遺伝子研究協力者会議(JGRED)の協力のもと収集された制限型のANで発症した240人を対象に、グレリン遺伝子の多型が、①むちゃ喰いの出現率に関連するか、②正常体重の回復率に関連するか、を生存時間解析で調べました。その結果、グレリン遺伝子の多型が正常体重の回復率と関連していることが明らかになりました。むちゃ食いの出現率とは関連していませんでした。今回のこれらの結果は、我々が先に報告した摂食障害の姉妹発症家族研究結果を支持するものでした。
 以上、本研究は摂食障害の症候の変化の基盤にある生物学的なメカニズムを探究した国際的にも初めての研究として高く評価されました。

参考URL (FACULTY of 1000)
http://f1000.com/5900959