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・公益財団法人 小児医学研究振興財団 イーライリリーアワード受賞
Kita Y, Gunji A, Inoue Y, Goto T, Sakihara K, Kaga M, Inagaki M, Hosokawa T. Self-face recognition in children with autism spectrum disorders: A near-infrared spectroscopy study. Brain Dev. 2011. 33: 494-503.

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders: ASD)は、他者とのコミュニケーション等の社会性の側面に困難さを認める発達障害である。本研究では、社会性の発達を支える基本的な能力の自他識別(自分と他人を識別する認知)について、顔刺激を用いた自己顔認知(自分の顔と判断する認知)に着目し、ASD児の中枢神経系の脆弱性を近赤外線スペクトロスコピー(Near Infrared Spectroscopy: NIRS)を用いて検討した。

健常成人では、自己顔認知している際、右下前頭回近傍領域に脳活動の増大が認められた。一方、ASD児では、同領域の活動が低下していた。この領域の活動は、ASD児の臨床症状や特定の心理状態と関連していた。すなわち、障害の重症度が重いほど賦活の低下がある、と同時に、他人視点から自分を意識する傾向が強いほど、賦活の増加が認められた。これらのことから、ASDの社会性の困難の背景には、自他識別に関わる右下前頭回の機能障害があり、同領域の障害の程度が、臨床症状に関与していると示唆された。また、心理状態との関連も認められたことから、今後の介入や支援方略を考える上でも有用な知見と考えられた。