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・日本発達障害学会 第47回研究大会 優秀発表賞(2012年8月)
北洋輔・井上祐紀・軍司敦子・崎原ことえ・稲垣真澄
自閉症スペクトラム障害児の表情認知における脳機能の特異性-近赤外線スペクトロスコピーを用いて-

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders: ASD)のある子どもでは、コミュニケーション場面におけるつまずきの一因として、相手の表情を理解したり読み取ること(以下:表情認知)の問題が指摘されてきました。私たちは、表情が変化する過程を示した動画を用いて、ASD児の表情認知を行っている際の脳の働きを近赤外線スペクトロスコピー(Near Infrared Spectroscopy: NIRS)を使用して検討しました。
ASD児は健常成人や定型発達小児と同様に正しく表情を読み取ることが出来ていました。その一方で、表情(今回は恐怖表情)を見ている際には、健常成人や定型発達小児とは異なって、右腹外側前頭前野の活動が増大していました。この脳の領域は、表情から喚起される不快な感情をコントロールして、表情認知を適切に行うために、活動すると考えられています。このことから、ASD児は、健常成人や定型発達小児とは異なり、不快な感情を制御し、正しく表情認知するために、この領域をより多く使う必要があったと考えられます。また、この領域の活動の程度と社会性の困難さの程度に関連が見られたことから、ASDの社会性の障害に関与する脳領域であると推測されました。今後は、本研究の結果を発展させ、評価や支援方法の開発につなげたいと考えております。