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巨大地震後におこる平衡感覚異常

本間元康(成人精神保健研究部) 遠藤信貴(近畿大学総合社会学部) 長田佳久(立教大学現代心理学部) 金吉晴(成人精神保健研究部) 栗山健一(成人精神保健研究部) 

巨大地震は様々な心身の不調をもたらし,特に繰り返す余震に関連してめまいの訴えが増加することが報告されています.2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の際も本震から数か月後に,めまい患者の増加が報告されました.めまいの原因の多くは平衡感覚機能異常と関連していますが,不安などの心理的ストレスがめまいの原因となるケースも多々見られます.本研究は巨大地震発生約4カ月後に,余震を多く経験した集団(地震群)とほとんど経験しなかった集団(統制群)の平衡感覚機能と心理的ストレスを調査しました.その結果,心理的ストレスに群間差はありませんでしたが,地震群の平衡感覚は閉眼時に限り有意に悪化しており,心理的ストレスと平衡感覚に有意な正の相関が認められました.また平衡感覚のパワースペクトル解析では,内耳機能の障害を反映する低周波帯域のパワーが地震群で有意に増大していました.これらの結果は,繰り返す余震による物理的作用と,余震に関連付けられたストレス反応が内耳機能異常を惹き起こす可能性を示唆します.本研究は巨大地震に対するリスクマネジメントの一助に寄与し,災害ケアのための新しい実証的アプローチを提案しました.なお詳細は Scientific Reports 誌で記載されています.