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第21回日本時間生物学会学術大会 優秀ポスター賞
Bright Light Facilitates Off-line Consolidation of Fear Extinction and Prefrontal Ability to Regulate Fear in Humans
高照度光はヒトの恐怖消去学習を促進し前頭前皮質負荷を軽減する
吉池卓也、本間元康、池田大樹、大村英史、金吉晴、栗山健一

曇天の室外でも明るいと感じる室内人工照明より10~20倍ほど高い照度があります。この室外照度と同程度の高照度人工光は憂鬱な気分を改善することが知られ、1980年代よりうつ病の治療に応用されています。高照度光療法は曇天の室外と同程度以上の照度が確保された照明の前で1‐2時間過ごすことで気分改善効果を発揮しますが、うつ病の近縁疾患である不安障害への治療効果が低いことが疑問でした。本研究は、高照度人工光照射が不安障害の成立や悪化に中心的な役割を果たす恐怖条件づけ学習の強化を防ぎ、不安や恐怖を抑える学習(恐怖消去学習)を促進することを明らかにしました。恐怖消去学習は前頭葉が良好に機能し、感情抑制機能を発揮することで得られます。高照度光は、恐怖消去学習に伴う前頭葉活動を減弱させつつ、逆に恐怖消去学習の成績を向上させたことから、前頭葉の機能効率を高める可能性が示唆されました。現在、有効性と安全性が高いとされる不安障害の治療法は認知行動療法であり、その作用機序の中核となるのが恐怖消去学習です。認知行動療法は、治療効果が得られるまで長時間の治療を何度も受けることが必要ですが、高照度光照射を併用することで治療を効率化し、治療に伴う負担を軽減する可能性が期待されます。