先天性福山型筋ジストロフィー

・疾患の概要
 先天性福山型筋ジストロフィー(FCMD)は、精神遅滞・筋力低下・脳形成不全を主徴をする常染色体劣性遺伝病.先天性筋ジストロフィー症の中で日本では一番頻度が高く、小児期進行性ジストロフィー症では、デュシェンヌ型についで頻度が多い.原因は、FCMD遺伝子の機能不全とされる.日本の症例のほとんどの患者は遺伝子内に挿入変異を認め、サザンブロット法などで確定診断が行える.次子への再発危険率は、常染色体劣性遺伝病であるので、25%.患児で診断がつけば、十分なカウンセリングのあと出生前診断も可能.

・臨床像
 本疾患の特徴は、精神遅滞(頚定平均8ヶ月、座位は獲得するが歩行の獲得は困難)と特有の顔貌(顔面 筋罹患による貧しい表情・ポカンと開かれた口・ふっくらした頬・よだれが多い).ふくらはぎの仮性肥大、けいれん発作、関節拘縮の合併も特徴的.検査所見としては、CK高値(数1,000単位 )、頭部MRIで厚脳回や白質髄鞘化の遅れが特徴的.

・発症機序
  1998年、本症の遺伝子座9 q31領域に位置する遺伝子一つにおいて多数の患者が挿入変異を認めたことからこの遺伝子がFCMDの責任遺伝子と確定した.最近の研究によればこの遺伝子の産物fukutinは滑脳症の責任遺伝子産物LIS1のように、発生時期の神経細胞の遊走に関係していることが判明した.ただこの遺伝子が規定するタンパクfukutinは筋肉で発現されておらず、ジストロフィンタンパクの局在する形質膜に局在していないことから、このタンパクの異常と筋症状との関係はいまのところ不明. 遺伝学的には、患者の染色体の87%に3'非翻訳領域に3 kbの挿入変異がみられ、少数に点変異が見られる.3 kbの挿入変異はとくに日本人患者に多く、創始者効果と考えられている.変異のタイプと重症度の関係も明らかにされ、典型例は3 kbの挿入変異をホモでもっており、片方が挿入変異でもう片方が点変異の場合は重度.いままで点変異のホモがみつかっていないことから、このタイプは胎生致死と考えられている. 本症が日本で多い理由として、3 kbの挿入変異が日本人の祖先に生じこれが広まったことが想定されている.

・ 遺伝子診断法
 3kbの挿入変異の同定には、サザンブロット法が有効.この変異には特有のハプロタイプがあるので、マイクロサテライト多型解析でも診断は可能.この変異以外の検索は塩基配列決定法による.

・遺伝子診断手順

・ 遺伝子診断依頼可能施設
  国内の研究施設の中に3kbの挿入変異の同定検査を行っているところがある.最新情報については、いでんネットを参照.

・ 遺伝子診断に際しての配慮事項
 3 kbの挿入変異をホモで有する症例においては比較的迅速な遺伝子診断が可能.その他の変異検索には時間がかかる 患者で遺伝子変異が確定すれば、適切な遺伝カウンセリングを前提に、出生前診断が可能.

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