MERRF (Myoclonus epilepsy associated with ragged-red fibers)

・疾患の概要
 MERRF (Myoclonus epilepsy associated with ragged-red fibers) は、ミオクローヌスてんかんや小脳症状を特徴とするミトコンドリア病である。

・ 臨床像

 自検例26名の発症年齢は2歳から42歳と幅が広く、0〜5歳が15%、6〜9歳が35%、10〜19歳が31%、20〜29歳が8%、30〜39歳が8%、40歳以上が4%となっている。多くは10歳前後で進行性ミオクローヌスてんかんの臨床像をとる。その後、歩行障害、振戦、構音障害などの小脳症状が出現してくる。  筋症状は、初期は易疲労性や動作の持続力の低下として自覚され、徐々に近位 筋優位の筋萎縮や筋力低下が明らかになる。 興味深いのは、8344変異をもつMERRF患者に脂肪腫を伴う症例が報告され、脂肪腫内のヘテロプラスミーの比率が骨格筋より高いという報告もある。これは、単なる合併というより脂肪腫の発生に8344変異が直接関わっていることを示唆する所見として注目される。また、糖尿病、末梢神経障害などの合併が報告されている。予後という観点から、心筋症の合併の有無は重要である。 代謝性アシドーシスを伴う血液・髄液中の乳酸・ピルビン酸値の上昇は、ほぼ全例に認められる。頭部CTやMRIでは、症状の進行とともに小脳及び大脳皮質の萎縮をみる。脳波所見は、基礎波の徐波化、棘波・棘徐波複合などの発作波、光過敏性などミオクローヌスてんかんにおいて認められる所見を呈す。 MERRF患者の骨格筋にも、MELASと同様にragged-red fiber(RRF)とstrongly SDH-reactive blood vessel(SSV)が存在するが、MELASと異なり、それらのRRFやSSVのCOX 活性が低下しているのが特徴である

・発症機序
 分子遺伝学的な研究で、ミトコンドリアDNAのリジン転移RNA内の8344変異(A→G)、8356変異(T→C)、8363変異(G→A)が報告されている。病理学的診断で確定したMERRF症例の80%に8344変異が検出される。これらの変異mtDNAは、正常型と共に存在するヘテロプラスミーである。  

・ 遺伝子診断法
 PCR法でmtDNAの8344変異、8356変異、83631変異を調べる。また、MELASによく認める3243変異でもMERRF類似の症状を呈する場合もあるので、3243変異も同時に調べる。これらで、MERRF患者の80%以上がカバーできる。

遺伝子診断手順

・遺伝子診断依頼可能施設
 国内の検査会社では、東洋紡、BML、SRLで行っている.  国内の研究機関でも行っている.その最新情報については、いでんネット(大学等の研究施設で行われている遺伝子検査の情報)を参照のこと. 遺伝子診断に際しての配慮事項  mtDNAは母系遺伝する。したがって、患者で変異DNAが証明されれば、その母にも変異DNAが検出できることがほとんどである。しかし、MERRF患者の母は、変異mtDNAをもっていても、臨床症状はないかあっても軽いことが多い。患者本人の診断で、mtDNAの点変異の存在が判明した場合、母や母方親族の負担にならないよう、配慮することが必要である。その際に重要なことは、1)変異mtDNAは細胞内で野生型と混在しており、変異型が優位 になったときにはじめて細胞に障害が起こること、2)変異型が血液での検査で見つかったからといって、病気ではないこと、3)血液を調べたことで、全身の細胞の様子が分かるわけではないので、予後については確実な情報を提供できないこと、4)すべてのヒトに、低比率であるが変異mtDNAが検出できること、などを話す。それでも不安の強いときは、国立精神・神経センター武蔵病院遺伝カウンセリング外来(後藤)まで、お問い合わせ下さい

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