Rubinstein-Taybi症候群

・疾患の概要
 Rubinstein-Taybi 症候群(RTS)は、幅広い母指趾と特有の顔貌、多毛、発達遅滞を特徴とする先天奇形症候群の一つ.16p13.3のCBP遺伝子の欠失もしくは変異で発症することが判明した.この遺伝子の欠失はFISHにより比較的容易に検出できるが、欠失例は全体の10%以下.ほとんどが突然変異によると思われる散発例であり、次子も罹患する可能性は0に近い.したがって出生前診断の必要性はまずない.

・ 臨床像

  本疾患の臨床的特徴は幅広い母指趾であり、眼瞼裂斜下、上顎低形成、前額部突出、長い睫 毛、眼間開離といった特有の顔貌を呈する、発達遅滞はIQ(DQ) 30-50で、言語は理解できても表現ができないといった特徴をもつ.このほか低伸長、合指、多毛、停留睾丸なども合併することが多い.発症頻度は1/30,000といわれ、先天奇形症候群の中では比較的多い.

・ 発症機序

  16番染色体p13.3領域に切断点を有する染色体転座を有する複数の症例から、責任遺伝子座が16p13.3にあることが判明し、この領域に位 置するCBP遺伝子に患者で変異が見つかり、この遺伝子が責任遺伝子であることが判明した.本症患者にみられる変異は機能喪失型変異であることから、片方のCBP遺伝子コピーの機能不全が病態に関連すると考えられている. CBP蛋白はCREB蛋白に結合しその機能をcyclic AMPを介して活性化させる.CREB蛋白についてはこれまでトリプレットリピート病である脊髄球筋ジストロフィー(SBMA)の核内封入体の構成蛋白であることや染色体転座の結果 生じるCBP蛋白と他の遺伝子産物の融合蛋白が白血病の原因になることが知られているが、CBP蛋白がどのような過程をへて本症を発症させるかについては、ほとんど明らかにされていない.

・遺伝子診断法
  FISH法によりCBPを含む16番染色体領域の欠失が同定できる.これにより本症患者の8.2%が診断できる. 本症患者の遺伝子変異が機能喪失型変異であることから、PTT(蛋白トランケーションテスト)法にの適用による遺伝子変異スクリーニングが可能.これにより本症患者の10.2%が診断できたという報告がある.

遺伝子診断手順

・遺伝子診断依頼可能施設
 
・ FISH法は、国外ではあるが、米国ベイラー医科大学(Kleberg Cytogenetics Laboratory, Houston, TX)な ど欧米の数カ所の検査施設で行っている.最新情報については、GeneTestsを参照のこと.国内では神奈川県立こども医療センター遺伝科(担当:黒澤健司先生)にFISH検査を依頼できる可能性がある.
 
・ 遺伝子変異サービスを行っている施設は国内外ともにない.

・遺伝子診断に際しての配慮事項

 本症患者は突然変異によるものがほとんどで、次子にも同じ疾患が発症する可能性はきわめて低い.従って遺伝子診断の影響が家系内の他の者に波及することはまずない.


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