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Psychopharmacology (Berl). 2011

Behavioral and molecular evidence for psychotropic effects in L: -theanine.

Wakabayashi C, Numakawa T, Ninomiya M, Chiba S, Kunugi H.

【論文の概要】

 テアニン(L-theanine)は緑茶に含まれる旨味成分であり、リラックス効果をもつことが知られている。緑茶を多く飲む人は精神症状が少ないという疫学的研究結果もある。テアニンは神経伝達物質であるグルタミン酸に構造が類似したアミノ酸であり、各種のグルタミン酸受容体に親和性を持つことも報告されている。しかし、実験動物を用いた向精神薬作用に関する詳細な検討はこれまで行われていない。

 当研究室の若林千里研究員らは、マウスを用いて、テアニンの向精神薬様作用とその分子メカニズムについて検討した。その結果、テアニンには統合失調症患者にみられる感覚情報処理障害(驚愕反応に対するプレパルス抑制の低下)を改善する効果があることを初めて見出した。さらに、持続投与では、抗うつ様効果や意欲改善効果があることも示唆された。

 分子メカニズムについて検討したところ、テアニンを持続投与したマウスでは、脳由来神経栄養因子というタンパク質が海馬で増加していた。このタンパク質は神経細胞の生存やシナプス形成において重要な働きをもつ。本研究によって、テアニンが統合失調症やうつ病の治療に有用である可能性が示唆された。今後は、臨床試験に研究が展開されることが期待される。以上の研究結果は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムなどの助成を受けて行われ、2011 年8月23日に科学雑誌「Psychopharmacology」のオンライン速報(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21861094)に掲載されました。