HOME > ニュース 沼川室長 日本神経化学会奨励賞

日刊工業新聞(掲載日 2012年02月16日)

 日刊工業新聞に以下の論文に関する記事が掲載されました。⇒ 日刊工業新聞のWebサイトへ(別ウィンドウで開きます)

 

"Association between the functional polymorphism (C3435T) of the gene encoding P-glycoprotein (ABCB1) and major depressive disorder in the Japanese population."
Takashi Fujii, Miho Ota, Hiroaki Hori, Daimei Sasayama, Kotaro Hattori, Toshiya Teraishi, Noriko Yamamoto, Miyako Hashikura, Masahiko Tatsumi, Teruhiko Higuchi, Hiroshi Kunugi.
J Psychiatr Res. 2012 Feb 3. [Epub ahead of print]


【論文の概要】

 うつ病はストレスを誘因として発症し、遺伝的要因も関与することが知られています。しかし、ストレスとうつ病発症との間には、未だブラックボックスが多く存在します。P 糖タンパク(ABCB1)は、血液脳関門に発現し数々の薬剤や生体毒素に対する排出ポンプとして機能し、脳を保護しています。
 私たちは今回、P 糖タンパクがストレスホルモンであるグルココルチコイドを基質の一つとすることに着目し、その機能低下型遺伝子がうつ病リスクと関連するかについて検討しました。日本人の「大うつ病性障害」患者631 人、健常者1100 人を対象として解析したところ、機能低下型対立遺伝子(アリル)T3435(rs1045642)(注)は患者群に有意に多くみられました。さらに父親と母親双方からこのアリルを受け継いでいる人の頻度も、患者に有意に多くみられました。この遺伝子多型は、これまで抗うつ薬の反応性を規定するのではないかとして注目されていましたが、うつ病の発症リスクそのものと関連することを示唆するデータを報告したのは初めてです。この結果が他のサンプルでも再現されれば、うつ病発症の分子メカニズム解明と、その後の治療への応用を切り開く上で、重要な意味を持ちます。