所長のあいさつ

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国立精神・神経医療研究センタ-神経研究所は世界の最前線で挑み続けています。

神経研究所 所長 岩坪 威

 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所はNCNPの一員としてNCNP病院、精神保健研究所などと協働し、精神疾患・神経疾患・筋疾患・発達障害などの病態や病因の解明及びそれらの予防法と治療法の開発に取り組んでいます。神経研究所は14研究部門と3管理室から成り立ち、生物学的な研究を中心に、基礎研究から臨床への橋渡し研究にかけて貢献しています。

 神経研究所の第一の強みは、脳科学の基礎研究を行う研究所としてだけでなく、臨床研究も行える環境のもとで、国民の皆さまの健康増進に直結する研究を行っている点にあります。所属する研究者には、医学部、薬学部などの医療系学部出身者だけでなく、理学部、工学部、農学部などで研鑽を積んだ多彩な学術的背景を持つ優れた人材が多数含まれています。即ち神経研究所の第2の強みはその学際性にあり、多様な研究展開の方向性を持っている点にあります。最新の科学技術の進歩をいち早く取り入れ、最先端の成果を上げる土壌が育っています。

 神経研究所の第3の強みは、次世代を担う若手研究者のキャリアパスを考えて、十二分な対応をとっている点にあります。国内に先がけて設けられた流動研究員制度(現・リサーチフェロー制度)は、博士研究員の安定した研究活動を可能としており、現在定員45名にのぼる研究者が活躍しています。他にも日本学術振興会特別研究員、科研費研究員、研究生、併任研究員、客員研究員など様々な身分での若手研究者の参加があり、総勢200名に達する陣容を誇っています。

 神経研究所は実質的な大学院大学としても機能しています。平成16年度から早稲田大学理工学術院、平成18年度から東京医科歯科大学、平成21年度から山梨大学、平成22年度から千葉大学、平成25年度からは東京農工大学との連携大学院制度が開始されています。さらに神経研究所は、国内のみならずアメリカ、ドイツ、フランス、中国、韓国、フィリピンなど諸外国からの留学生(研究員)も受け入れています。ジョンスホプキンス大学、ハーバード大学、マックスプランク研究所、パスツール研究所、ピエール・マリー・キュリー大学、メルボルン大学など海外の研究機関との共同研究も盛んに行われています。

 神経研究所の歴史は、昭和53年4月、国立療養所武蔵病院の中に「神経センタ-」が設立されたことに遡ります。8部16室でスタ-トしましたが、昭和61年10月に、国立精神・神経センタ-(当時)の設立に際して「神経研究所」と改称され、組織も14部35室、2管理室体制に拡充されました。平成22年4月からNCNPが独立行政法人化されたことに伴い、名称は国立精神・神経医療研究センター神経研究所となり、NCNPは平成27年4月からは国立研究開発法人と位置づけられています。平成7年に中核的研究拠点育成事業の対象として選定されるなど、神経研究所は所員のたゆまぬ努力により着実に発展してきています。「神経センター」開設以来40年を経て、国内で最も活力ある神経科学・神経疾患の研究拠点として、世界の最前線で挑み続けています。

 NCNPの研究所施設には、本館、2号館、3号館があり、神経研究所は精神保健研究所と相互乗り入れの形でスペースを共有しています。神経研究所にはこれに加えて、小型実験動物研究施設、総合実験動物研究施設、実験動物画像解析施設が附属しており、総合的な研究が行える場を提供しています。このような優れた環境のもと、それぞれの研究者が部門の垣根を越えて日々活発な科学的討論を交わし、一丸となって研究を進めています。

 最後になりましたが簡単に自己紹介をさせて頂きます。私は神経内科学を学んだ後、神経疾患の病態を明らかにし、治療法を開発すべく神経病理学の分野で研究を続けてまいりました。アルツハイマー病、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患に悩まれる方々の数が急増し、予防・治療法開発に向けた研究が待った無しの状況のもと、このたび神経研究所で働く機会を頂いたことに身の引き締まる思いでおります。東大・神経病理学分野でも研究を継続しておりますが、神経研究所の発展のために全力を尽くす所存です。

 神経研究所は国民の皆さまの期待に応えて、神経、精神、筋、発達障害の病気で悩まれる方々に明るいニュ-スをお届け出来るよう、これからも日夜努力して参ります。私どもの活動に対し、ご意見・ご批判とご支援を賜ることが出来ましたらこの上ない喜びです。

 これまでご指導を頂いてきました内外の皆さまに、この場を借りて厚く御礼を申し上げますとともに、引き続き神経研究所をご支援くださいますよう心よりお願い申し上げます。

令和2年4月
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センタ-
神経研究所 所長 岩坪 威