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荒木亘室長らは、筑波大学(臨床医学系神経内科、玉岡晃教授ら)と共同で、コレステロール合成阻害薬であるピタバスタチン(PV) 、アトルバスタチン (AV)がベータアミロイド(Aβ)の産生を低下させるメカニズムを発見し、本年3月に論文発表しました。

Aβはアルツハイマー認知症の脳に異常に蓄積するタンパクで、重要な発症因子であり、アミロイド前駆体タンパク(APP)という前駆体の分解により生成します。一方、スタチンがアルツハイマー認知症のリスクを低下させるという疫学的な報告があるものの、神経細胞のAβ産生に対する影響は不明確でした。

研究グループは、培養神経細胞を比較的低濃度のPVまたはAVを加えた培地で4日間培養した場合、対照に比べて、神経細胞からのAβ産生が有意に低下すること、さらに、その低下は、コレステロール低下作用とは異なる機序を介して、APP、特にリン酸化型APPのレベルの低下により引き起こされることを、初めて見出しました。

 

本研究において、現在すでに臨床で使用されているスタチンという薬物がAβ産生を抑制する新規な作用メカニズムが明らかとなりました。従って、アルツハイマー認知症の予防、治療の観点から、重要な示唆を与えるものと考えられます。

 

本論文は、カナダの医学・生物学系の情報サイトGlobal Medical Discoveryが選定するKey Scientific Articlesの一つに選定され、同ホームページで6月下旬に公開されました。このことは、本論文が国際的にも、高い評価を受けたことを意味しています。

 

原論文情報:Hosaka A, Araki W, Oda A, Tomidokoro Y, Tamaoka A: Statins reduce amyloid β-peptide production by modulating amyloid precursor protein maturation and phosphorylation through a cholesterol-independent mechanism in cultured neurons. Neurochem Res 38: 589-600, 2013

 

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