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プレスリリース詳細

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独立行政法人
国立精神・神経医療研究センター
(NCNP)
総務課広報係 TEL:042-341-2711

MRI画像を用いた統合失調症とうつ病の鑑別方法を開発

 

統合失調症やうつ病などの精神疾患は、患者の主観的体験を医師が問診によって聞き出し、それによって得られる情報に基づいて診断されており、客観性に乏しいことが問題とされてきました。統合失調症は病初期や経過中にうつ状態を呈することが多く、うつ病(大うつ病性障害)でも妄想を生じることがあることから、両者の鑑別が難しいケースが少なくありません。これらの2疾患は治療法が大きく異なるため、問診だけでなく、脳科学的方法によって鑑別する方法の開発が待たれています。国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部 太田深秀室長、功刀浩部長らのグループは、女性の統合失調症とうつ病とを鑑別する指標としてMRI(核磁気共鳴装置)により得られる脳の局所的な形態の違いを用いる方法を検討しました。25人の女性統合失調症患者と25名の女性うつ病患者の脳の形の違いに関してMRIを用いて測定した結果、およそ8割の正確さで2つの疾患を鑑別する方法を開発しました。さらに、同方法を別の患者群にあてはめたときにも同等の的中率で診断できました。これらの2疾患をMRIで鑑別する方法を開発したのは、世界で初めてです。

本研究成果は、2013年7月3日に科学雑誌Journal of Psychiatric Researchのオンライン速報版http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022395613001933で公開されました。なお、本研究は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として、また科学研究費補助金などの助成を受けて行われました。

■研究の背景

現在、統合失調症やうつ病の診断は、幻覚や妄想、抑うつ気分などの症状の有無を患者に聞くこと(問診)で診断されており、脳科学的検査による診断法は行われていません。そのため、診断に客観性が乏しく、医師の適切な問診能力と患者の協力がないと診断できないなどの問題があります。しかし、脳画像解析技術の進歩により、統合失調症やうつ病などの精神疾患を診断するためのさまざまな検査法が開発されつつあります。近赤外光イメージング装置(NIRS)を用いた精神疾患の鑑別法やMRIを用いた方法が有望です。

MRI画像解析技術は急速に進歩しており、脳の小さな構造の体積や神経ネットワークなどについて詳細にみることが可能になるにつれ、統合失調症やうつ病では疾患に特徴的な脳の形態の違いがあることが明らかとなっています。そこで今回我々は、その脳の形態の違いに着目し、MRIからの情報から当該2疾患を鑑別する方法を開発しました。

■主な研究結果

国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部 太田深秀室長、功刀浩部長らは25人の女性統合失調症患者と25名の女性うつ病患者の頭部MRIの情報から疾患に特徴的な脳の形態の違いを検出し、その情報をもとに病気を鑑別できるか検証しました。その結果、うつ病と比較して統合失調症では大脳基底核周辺に存在する視床という脳領域に変化が認められやすいことが明らかとなり、また統合失調症よりもうつ病では帯状回のうち膝下部と呼ばれる脳領域に変化が認められやすいことがわかりました。これらの領域の形態の違いを示す数値を今回算出された判別式に導入すると78%の正確率で2つの疾患を鑑別することができました。さらに、同方法を別の患者群(女性統合失調症患者18名、女性うつ病患者16名)のMRIにあてはめた時にも79%の正確率で鑑別ができたという結果が得られました。

■今後の展開

これまでに統合失調症と健常群、うつ病と健常群をMRIによって鑑別する研究報告はありましたが、うつ病と統合失調症の鑑別についての報告は、世界で初めてです。この二つの疾患は治療法が異なりますが、問診による情報だけではしばしば鑑別が困難であるため、MRIを活用する方法が確立すれば、補助診断法として臨床で非常に役立つことが期待できます。ただし、本報告は世界で初であるため、この方法が再現されるかどうか、今後世界の他の研究機関で追試され、確認される必要があります。

一般に、統合失調症は疾患に特徴的な脳の形態が性別により異なることが知られています。そのため、今回の研究では女性患者のみを対象とした研究結果を報告しました。今後、男性の患者についても、MRIを用いたうつ病と統合失調症の鑑別する方法を開発する予定です。

■論文名(雑誌名、発行年月日等)

Miho Ota, Masanori Ishikawa, Noriko Sato, Hiroaki Hori, Daimei Sasayama, Kotaro Hattori, Toshiya Teraishi, Takamasa Noda, Satoko Obu, Yasuhiro Nakata, Teruhiko Higuchi, Hiroshi Kunugi "Discrimination between schizophrenia and major depressive disorder by magnetic resonance imaging of the female brain" J Psychiatr Res. 2013

 

※ご取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。

≪研究詳細のお問い合わせ≫

(独)国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部
担当:太田深秀
E-mail:

 

≪本リリースの発信元≫
(独)国立精神・神経医療研究センター 広報係
TEL: 042-341-2711/FAX:042-346-2094

 

≪文部科学省 脳科学研究戦略推進プログラムに関するお問い合わせ≫
脳科学研究戦略推進プログラム 事務局
担当:大塩立華
TEL:03-5282-5145/FAX:03-5282-5146
E-mail:

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