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プレスリリース詳細


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2014年1月24日
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター
(NCNP)
Tel:042-341-2711(総務部 広報係)

国立精神・神経医療研究センター・三島和夫部長らの研究グループが、
睡眠医療・睡眠研究用プラットフォームPASMを開発

 

■ 本成果のポイント

  • 睡眠医療および睡眠研究の推進を目的とした集約型プラットフォームが完成しました。
  • 本プラットフォームは、1)一般向けの睡眠障害の啓発およびセルフチェックシステム、2)患者・医療者向けの症状記録とデータ解析による診療支援、3)研究者向けのバイオバンク機能から構成されたオンラインシステムです。
  • 本プラットホームを活用することで、睡眠障害の早期発見、睡眠医療の質の向上、そして睡眠障害の臨床および基盤研究の進展が期待できます。

 

睡眠医療プラットフォーム(睡眠医療および睡眠研究用プラットフォーム Research Platform for Advanced Sleep Medicine; 略称PASM)は、睡眠医療の質の向上と睡眠障害の臨床・基盤研究の促進を目的として構築された集約型オンラインシステムです。国立精神・神経医療研究センター精神・神経疾患研究開発費事業および厚生労働科学研究事業の研究成果をもとに、睡眠医療に関わる全国の代表的な大学、研究機関、医療施設等の専門家が作成に携わりました。
URL: http://sleepmed.jp/platform/index.html
PASMは、第一モジュール(自己診断システム)、第二モジュール(臨床支援システム)、および第三モジュール(データバンクシステム)の3つのモジュールから構成されています。第一モジュール(自己診断システム)は一般の方に公開されており、自覚症状に応じて簡易質問から詳細質問へと階層的に創成される質問に順次回答することで、罹患している可能性のある睡眠障害のオンライン診断が可能です。診断レポートはPDF等で保存・印刷することもできるため、医療機関に受診するときの資料として使えます。第二モジュール(臨床支援システム)はID登録した医療機関の医師、コメディカル、通院中の患者様が利用できる臨床支援システムです。PASMには多数の症状評価スケールが装備されているほか、睡眠判定に用いる携帯型活動量計のデータ取り込み機能を有し、高精度の臨床症状の記録、保存、見える化が可能になりました。症状評価スケールを任意に作成できるため、疫学調査、臨床研究、治験、臨床研究などにも幅広く応用できるのが特徴です。第三モジュール(バイオバンクシステム)は研究に同意された患者様を対象として、提供された臨床データやバイオリソース(DNA、RNA、血液など)を連結可能匿名化してバンキングするシステムです。
今後の睡眠医療では高い診断精度と臨床データの解析技術(データマイニング)が求められます。また患者様から提供いただいた血液やDNAなどを用いた病態研究においても質の高い臨床情報を欠かすことはできません。PASMは臨床情報と基盤研究用バイオリソースを機能的に集約する国内初のシステムです。PASMを有効に活用することで、睡眠障害の早期発見、睡眠医療の向上、そして睡眠障害の臨床および基盤研究が進展することが期待されます。

■ 研究の背景と目的

睡眠障害の罹患率は非常に高く、眠気や倦怠感、能率低下などのほか、うつ病や生活習慣病のリスク要因となるなど心身に多大な悪影響を及ぼすことが指摘されています。そこで、睡眠障害に対処するため、国内の専門家が過去20年をかけて主要な睡眠障害の診断・治療ガイドラインを整備してきました。
しかしながら、診断治療法が進歩する一方で、睡眠障害の専門治療を受けられる医療施設は十分ではありません。一部大都市圏を除いて専門医療施設は少なく、またその多くは睡眠時無呼吸症候群を専門にしているため、不眠症や過眠症、概日リズム睡眠障害などその他多くの睡眠障害に対応できる医療施設は限られているのが現状です。その結果、睡眠障害の診断・治療法に関する臨床試験、新薬治験、病態解明をめざした基盤研究の体制作りにも支障が生じています。
そこで、国立精神・神経医療研究センターでは精神・神経疾患研究開発費事業の一環として、平成23年度〜25年度の3年間をかけて、全国の代表的な睡眠医療施設、大学、研究機関の専門家と共同し、睡眠医療の支援と睡眠障害研究の促進を目的とした睡眠医療プラットフォーム(睡眠医療および睡眠研究用プラットフォーム Research Platform for Advanced Sleep Medicine; 略称PASM)を作成しました。PASMは、睡眠障害の早期診断から始まり、質の高い睡眠医療の提供、臨床情報や研究用バイオリソースの管理までをサポートする睡眠医学領域では初めての集約型プラットフォームです。PASMの作成にご協力いただいた施設は以下の通りです(順不同)。

国立精神・神経医療研究センター(幹事施設)
東京慈恵会医科大学、旭川医科大学、秋田大学、京都大学、久留米大学、滋賀医科大学
労働安全衛生総合研究所、東京医科大学、睡眠総合ケアクリニック代々木
藤田保健衛生大学、各施設の研究協力病院およびクリニック
システム・ツール開発:キッセイコムテック株式会社

■ プラットフォームの概要

PASMは、第一モジュール(自己診断システム)、第二モジュール(臨床支援システム)および第三モジュール(バイオバンクシステム)の3つのモジュールから構成されています。

  • 1)第一モジュール(自己診断システム)
    PASMの目的の一つは、睡眠問題に悩みながらも睡眠医療にアクセス出来ない方々に、次善の策として、睡眠障害の在宅検診を可能にしたオンライン診断システム(睡眠障害セルフチェック)を提供することです。睡眠障害セルフチェックサイトは一般公開されています。
    URL: http://sleepmed.jp/platform/index.html
    自宅のパソコンやスマートフォンでPASMにアクセスし、ご自身の睡眠習慣や悩んでいる症状に関する質問に順次答えていただくことで、罹患している可能性のある睡眠障害を簡易判定します。睡眠障害の疑いのある方にはID登録をしていただいた後に詳細診断が可能なサイトをご案内します。診断結果はモニター画面のほか、PDF等で保存・印刷することも可能です。診療をご希望の場合には受診先に診断結果を持参していただければ大変役立つ資料になります。将来的には、オンライン検診の結果をもとに最寄りの最適な医療機関をご紹介できるようになる予定です。
    PASMの睡眠障害セルフチェックでは独自に開発した分岐型診断アルゴリズムを用いており、頻度の高い代表的な20以上の睡眠障害に対応しています。多施設共同で計500名以上の睡眠障害患者様を対象にした検証試験を行い、十分な診断精度を持っていることが確認されています。
  • 2)第二モジュール(臨床支援システム)
    ID登録した医療機関の医師、コメディカル、通院中の患者様が利用できる睡眠医療の支援システムです。睡眠障害の診断では、自覚症状を正確に聴き取ると同時に、睡眠ポリグラフ試験や活動量計などで測定した睡眠深度や睡眠時間、睡眠リズムなどの客観的なデータと照らし合わせて判断する必要があります。PASMには睡眠医療を行うために必要な多数の症状評価スケールが装備されています。また活動量計データをパソコンやスマートフォン経由で取り込みそのままPASMに送信することができるため、医療者は患者の在宅時の症状や検査結果を病院で事前に確認でき、診察時に適切に指導することができます。治療経過中の臨床症状、薬効、副作用情報は随時記録・見える化できるため、質の高い診断と治療が可能になります。また症状評価スケールや実施スケジュールを任意に作成できるため、睡眠医療のほかにも、疫学調査、臨床研究、治験、臨床研究などに幅広く応用が可能です。
  • 第二モジュールの代表的機能

    睡眠症状評価システム 睡眠障害の診断と重症度判定に関わる20種類以上の尺度が経時的に利用可能。
    関連症状評価システム 精神症状(うつ等)、QOL、リズム特性、クロノタイプ、季節性、副作用などの判定に関わる30種類以上の尺度が経時的に利用可能。
    クエスチョネア作成機能 上記のデフォルト設定に無い新たなクエスチョネアをシステム上に作成する機能。
    スケジューリングシステム 多様なデザインの臨床試験や治験に対応するため各種クエスチョネアを指定された日時に開示し、回答を促すスケジューリング機能。ID登録、時刻設定、メールアラートシステムなど。
    電子睡眠ダイアリー 日々の睡眠スケジュール(就床、消灯、入眠、中途覚醒、覚醒、離床)と不眠・過眠症状、四肢感覚運動障害やうつ・不安などの随伴症状、服薬状況、光療法等の実施状況などをオンラインで記録し、見える化する機能。
    活動量計データマイニング機能 患者・被験者の自宅で測定したアクチグラフ(活動量計)データをパソコン・スマホ経由でプラットフォームに自動転送し、2分毎に睡眠・覚醒判定した上で電子睡眠ダイアリーと突合・見える化する機能。

  • 2)第三モジュール(バイオバンクシステム)
    研究に同意された患者様が提供された臨床データやバイオリソース(DNA、RNA、血液など)を連結可能匿名化してバンキングするシステムです。研究同意と同時に、すでに第二モジュールを利用されている方の臨床データは匿名化されて第三モジュールに移行できます。また、新規に登録することも可能です。患者様から提供いただいたバイオリソースを用いた病態研究では、第二モジュールで得られた詳細な臨床データが大変貴重な情報になります。


■ 今後の展開

今後もPASMの診断精度の向上や臨床データの解析ツールの開発を進めます。特に、在宅での睡眠状態を継続的かつ高精度に判定できる新型活動量計や携帯型脳波計のデータマイニング技術の開発が必要です。新型活動量計は1万円を切る廉価版が市販され、一般の医療機関でも利用可能な時代になりました。
また、睡眠障害の病因解明や新薬開発のためにも、臨床および基盤研究を強力に推進する必要があります。現在、患者様からさまざまなバイオリソース(DNA、RNA、皮膚繊維芽細胞、血清・血漿、髄液など)をご提供いただいています。PASMを有効に利活用して、貴重な検体を医学研究に役立てる多施設共同研究の枠組み作りを進める予定です。


■お問い合わせ先


【研究に関すること】
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部
部長 三島和夫
〒187-8553 東京都小平市小川東町4-1-1
Tel:042-346-2071 Fax: 042-346-2072
Email:

【報道に関すること】
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター
総務課 広報係
TEL:042-341-2711(代表)

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