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第22回 若手育成カンファレンス報告書

 2012年10月5日、第22回若手育成カンファレンスとして、若手研究グループの山野真弓さん、神経研究所疾病研究第五部 長野清一さんの2名より発表が行われました。

「統合失調症に対する感覚調整法の開発と有効性についての研究」
山野 真弓(病院 リハビリテーション)

欧米において薬物による鎮静や行動制限の代替医療として用いられている感覚調整技法は、感覚刺激の量や質をコントロールすることによって鎮静化を図るものです。我が国への感覚調整技法の導入をめざし、当院の医療観察法病棟に感覚調整室が開設されました。
山野さんは、若手研究グループにおいて、感覚調整技法の有効性についての予備的研究に取り組まれています。今回の発表では、その効果についてご発表いただきました。通常のリラクゼーションと感覚調整技法の有効性については同等の効果が得られることがわかりました。初めて導入する技法なのでその安全性について評価するために、限られた条件のなかでの予備研究でしたが、より実用的な運用に向け、今後の取り組みに向けての可能性が示唆される発表でした。また、フロアからも有効性の検証は非常に難しいことや、研究同意取得の難しさについてもディスカッションされ、活発な意見交換が行われました。

「筋萎縮性側索硬化症の発症原因の解明に向けて―TDP-43の機能解析を中心に―」
長野 清一(神経研究所 疾病研究第五部)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経の変性により全身の筋力低下をもたらし、まだ根本的な治療法は確立されていない疾患です。近年、ALSおよび前頭側頭型認知症(FTD)に共通してRNA結合蛋白であるTDP-43の神経細胞内での異常沈着や、この遺伝子変異が見つかっており、TDP-43の機能とALS及びFTDの発症との関連が注目されています。
長野さんらは、TDP-43による神経突起内へのRNAの運搬機能の低下がALS及びFTDの原因ではないかと考え、TDP-43と結合して神経突起へ運ばれるRNAの特定を試みられました。その結果、リボソーム蛋白質のRNAが候補として検出され、TDP-43とリボソーム蛋白質RNAが結合すること、それらは神経突起で同じ部位に存在することが示されました。これらより、TDP-43の神経での機能が低下すると神経突起での種々の蛋白質の合成能力が低下し、神経細胞そのものの機能が維持できなくなると推測されることや、これがALS及びFTDで神経変性が起こる原因となっている可能性、さらには診断や治療への応用の展望も含めてお話し頂き、大変示唆に富んだ発表でした。

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