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第29回 若手育成カンファレンス報告書

 2013年9月25日、第29回若手育成カンファレンスが開催され、若手研究グループの阿部十也さん(神経研究所 疾病研究第七部)と本田涼子さん(病院 小児神経科)が発表されました。

「報酬による学習定着促進効果を最大化させる非侵襲性脳刺激法の開発 –予備実験での刺激部位の同定-」
阿部 十也(神経研究所 疾病研究第七部)

 成功報酬を与えると学習効果が上がることが分かっていて、脳梗塞など運動機能障害をもつ患者のリハビリテーションへの応用が期待されています。
 近年、MRI脳画像技術の進歩により、ヒト脳構造画像から皮質の発達度評価が可能となり、皮質の発達度から関連のある行動課題の成績の個人差が説明できるようになりました。阿部さんは、この報酬定着促進効果を最大化させる非侵襲性脳刺激法を開発するために、報酬効果と関連のある刺激部位を同定するための実験を行いました。
 MRIを使って、報酬の定着促進効果と関連のある部位を全脳レベルで探索した結果、報酬学習後の成績改善効果が小脳、運動前野、中前頭回、眼窩回の皮質の発達度で予測できることが分かりました。運動前野を含めたこれらの領域の皮質発達度は、報酬学習効果の事前診断に有用なバイオマーカーになることが期待されます。今後の展望として、この部位に刺激を与えて報酬による学習定着促進効果を最大化させるという夢を紹介されました。

「乳児難治てんかんの高密度脳波解析」
本田 涼子(病院 小児神経科)

 小児てんかんの中でも乳児期発症のものは最も頻度が高く、中でも器質異常に伴う症候性てんかんが約半数を占めています。この分野では、近年、空間分解能の高い高密度脳波記録を用いた脳波解析に期待が集まっています。

 本田さんは、乳児難治性てんかん患者に対して高密度脳波記録を行い、結果の画像化を試みました。対象は難治てんかんの乳児で、83chの電極のついた脳波キャップを作成して頭皮電極脳波を記録しました。得られた非発作時脳波データからてんかん性放電の電流源を推定し、実際の患者の脳MRI画像に投影して可視化し、同時記録した脳磁図(MEG)結果と比較しました。

 適切なスパイクが得られたのは7例中4例で、そのうち3例は高密度脳波とMEGの結果がおおむね一致していました。高密度脳波では電流源の広がりを反映した結果となっている可能性があり、患者脳MRIを用いた解析によって、機能解剖に基づいた詳細な局在診断が可能となりました。
 乳幼児においては、頭蓋内電極脳波の適応が現実的に困難なため、比較的簡便かつ非侵襲的に行える重要な焦点検索法となることが期待されます。

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