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第45回 若手研究カンファレンス報告書

2015年9月30日、第45回若手育成カンファレンスが開催され、認知行動療法センターの小林由季さんが発表しました。

強迫性障害に対する家族の巻き込まれに関する実態調査
小林由季(認知行動療法センター)

強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder; 以下OCD)は、患者本人の苦痛や機能障害だけでなく、その家族に大きな影響を及ぼすことが知られています。実際、OCD患者の家族のうち95%以上がOCD患者特有の強迫的な確認行為や儀式的行為に巻き込まれており、その巻き込まれは、家族機能の障害や家族自身のQOLの低下、治療効果の低下、OCD症状の重症化との強い関連性が報告されています。
OCD治療においては患者家族への介入が重要な役割を担っており、海外においてはOCD患者家族に対する支援プログラムの有効性が実証されています。一方国内においては、家族支援プログラムや家族の巻き込まれに関する調査データはわずかで、家族の巻き込まれに関する系統的な研究は見られません。さらに家族の巻き込まれに対する評価尺度は存在しないため、その測定ツールの作成が急務の課題としてあげられています。
そのため、① 欧米で用いられている家族の巻き込まれ尺度FAS-SRの日本語版を作成し、その信頼性と妥当性を検討すること、② OCD患者家族の巻き込まれに関する実態調査を行うこと、③ OCD患者家族の巻き込まれに関する実態調査結果を踏まえて、家族支援プログラムを構築することを目的に、研究を開始しました。
既に尺度の原著者と連絡をとって日本語版の翻訳・逆翻訳とチェックを行い、倫理委員会で承認を受けて研究を開始して13人の患者さん・そのご家族からデータが得られました。研究の経過途中ではありますが結果を見ると、患者の重症度と巻き込まれには相関がなかったですが、巻き込まれの程度の家族機能、家族の心的ストレスと患者の重症度とに相関がみられました。今後はさらに研究を進めて尺度の確立と巻き込まれの実態調査を完遂し、また患者の視点からの巻き込みの認識と家族の視点からの巻き込まれの認識の差異なども、検討していきたいということです。
参加者からは研究結果・限界点や、プレゼンテーションの方法について、活発に多くのコメントが出て、有意義な時間となりました。

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