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第59回 若手育成カンファレンス報告書

  今回は認知行動療法センターで心理士として活躍されている小林由季さんに『強迫性障害に対する家族の巻き込まれ尺度(FAS-SR) 日本語版の標準化と巻き込まれに関する実態調査』という題で発表をしていただきました。

 強迫性障害 (OCD)は、罹患した患者のみならず、家族にも影響を及ぼし、海外報によると、その95%以上が確認行為や儀式的行為に巻き込まれ、社会活動の制限を強いられているとされます。この家族の巻き込まれ(Family Accommodation)は、OCDに対する治療効果の低下や家族の生活の質(QOL)低下と関連するとも報告され、海外においてはOCD患者の家族に対する支援プログラムの有効性が実証されています。しかし、本邦における調査データはわずかで、この巻き込まれを評価する尺度も存在していませんでした。この現状を踏まえ、(1) FAS-SR日本語版(Family Accommodation Scale Self Rated version; FAS-SR)を作成し、その信頼性と妥当性を検討することと、(2) OCD患者家族の巻き込まれに関する実態調査を行うこと、を着想し、これまで研究を行ってきました。
 発表では、FAS-SRの妥当性や信頼性検討の結果に加え、家族の精神的苦痛度や機能障害と巻き込まれとの関連性についてもデータが示され、家族介入による巻き込まれ軽減を治療上/研究上の目標としていることがうかがえたのが印象的でした。
 発表の後は、FAS評価を家族から評価するか、あるいはOCDの当事者から行うかといった視点や、こうした調査を行うに際して、共通方法バイアスを以下に避けるかといった視点が提起されたほか、FAS評価を治療の度のタイミングで行うかといった臨床的観点からみた活発な議論が交わされました。今回の調査は既に終了し、その成果もJ Obsessive Compuls Relat Disord 2017;15:27-33.に掲載されており、今後は、OCDに対する家族介入併用プログラムのランダム化比較試験や外来患者用家族プログラム短縮版の検討へと移行し、更なる発展が期待されます。

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