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第60回 若手育成カンファレンス報告書

  第60回の若手育成カンファレンスは病院身体リハビリテーション部で言語聴覚士(ST)として活躍されている織田千尋さんに『日本語版Communicative Effectiveness Surveyの信頼性と妥当性』という題で発表をしていただきました。この研究は、神経変性疾患に罹患した方々で生じる運動性構音障害について、STによる他覚評価と当事者の自己評価におけるギャップがあることから着想され、当事者の自覚的重症度を評価するため、米国で開発された自記式質問紙Communicative Effectiveness Surveyの日本語版(CES-J)を開発し,その信頼性と妥当性を調べることを目的にしています。
 口演では、動画をもちいて運動性と失調性の構音障害についてその違いを説明したほか、前者について、他覚的に明瞭な発語をしているように聞えても、自覚的にはそのように受け止められていない症例が示されたのが印象的でした。一連の信頼性・妥当性についても、Cronbach’s αや級内相関係数の値から信頼性を、患者と対照群のCES-J総点比較や、CES-J総点と発話の自覚的重症度との関連性検討から妥当性を、検討したことを説明して頂きました。CES-Jは会話明瞭度よりも自然度との相関が高く、患者は発話の明瞭性よりもリズムやイントネーションの異常の方が発話の異常として自覚しやすい可能性があるようです。
 発表の後は、神経変性疾患で生じる運動性構音障害について、その自他覚差が何故生じるのかについて質問や、こうした自他覚差によって治療的介入がどのように変わり得るのかについて、議論が提起され、臨床的観点からみた支援の方向性に至るまで論じられました。これまでの研究成果については一部は論文の投稿を行っており、今後も更なる発展が期待されます。

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