認知行動療法センター

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脳画像研究:認知行動療法の治療反応性を予測する

脳画像研究:認知行動療法の治療反応性を予測する

近年、脳の構造や機能を非侵襲的に検討できる技術(例:核磁気共鳴画像(MRI)、近赤外光脳機能イメージング(NIRS)など)が急速に発展しています。精神医学・臨床心理学の領域においても、精神疾患に関連する脳の構造や機能が詳細に検討されるようになりました。

現在は、精神疾患と脳構造・脳機能の関連について、様々な知見が蓄積されている最中ですが、これまで「見えない疾患」と言われていた精神疾患が、科学技術の発展に伴い、他の身体疾患と同じように、「見える疾患」へと変わりつつあります。

認知行動療法センターでは、認知行動療法の有効性を検証する臨床試験に加えて、脳画像を用いた研究を通して、患者様に効率的で有効性の高い認知行動療法を提供する方法や、脳の生物学的変化という客観的な観点から認知行動療法の成果を提示する方法を探求しています。

 

認知行動療法の治療反応性を予測する

多くの認知行動療法では、一定の期間(例:10週間)、一定の頻度(例:週に1回)、面接を継続することが求められます。また、面接の中や外で、新しいスキルの習得のために、様々な形で練習を行います。しかし、こうした認知行動療法を受けた患者様のうち、治療による十分な改善を得られない患者様がいらっしゃるのも事実です。

こうした現状に対して、現在の研究動向は、大きく分けて2つあります。1つは、認知行動療法の有効性を向上させるための研究です。具体的には、新たな認知行動療法の開発、これまで開発された認知行動療法の精緻化などです。そして、もう1つの方向性は、治療開始前に、認知行動療法の治療反応性を予測する研究です。つまり、ある患者様が治療方法を選択する時点で、それぞれの治療法に対する治療反応性を予測し、最適な治療法を選択できるようにするための研究です。

認知行動療法センターでは、認知行動療法を実施する前に、MRI撮像を実施し、実施前の脳画像データを用いて、その後の治療反応性を予測する研究を行っています。

 

認知行動療法の治療成果をより客観的な指標で示す

認知行動療法の治療変化を確認する方法として、現在では主に2つの方法が取られています。1つめの方法は、専門家が患者様に実施する症状評価の得点の変化を確認する方法です。2つめの方法は、患者様ご自身にご記入頂く自記式質問紙の得点の変化を確認する方法です。これらの方法は共通して、患者様の主観的な報告が強く反映されるという点が挙げられます。精神疾患においては、患者様の主観的苦痛は非常に重要な側面であるため、これらの方法が長く用いられてきましたが、その一方で、これらの方法は客観性に乏しいという側面があります。たとえば、骨折を例にとると、レントゲンやCT、MRIを見れば、骨折した状態から回復したかどうかが一目瞭然ですが、精神疾患では、こうした客観性の高い測度が未だ確立されていません。

しかし、近年の研究で、認知行動療法の治療前後で、患者様の主観的な報告だけでなく、特定の脳構造、脳機能、または脳内のネットワークにも変化が生じることが示されてきました。今後、研究知見が蓄積されていくことで、患者様の主観的な報告に加えて、脳構造、脳機能、脳内ネットワークの変化というより客観性の高い測度で、治療変化を説明できるようになることが期待されています。

認知行動療法センターでは、認知行動療法の実施前後で、MRI撮像を行い、脳の構造や機能、ネットワークレベルで、どのような変容が生じるのか、検討しています。

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