第7回あたらしいてんかん外科治療

第7回
あたらしいてんかん外科治療

  1. TOP
  2. 患者の皆様へ
  3. てんかんを知るコラム&ニュース
  4. 第7回あたらしいてんかん外科治療

切らない手術、焼く手術〜定位的てんかん焦点凝固術〜

おおよそ3割のてんかん患者さんはお薬だけで発作を十分にコントロールすることが難しいとされています。しかし、内服治療だけで治療が難しいてんかん(難治性てんかん)の患者さんも、てんかんの外科治療(てんかん手術)を受けることによって発作をコントロールできる可能性があります。

てんかんの手術では、頭を開けてんかんの原因となる脳の領域を切り取る必要があります。一方で、運動や言語などの大事な機能を持っている場所は切らないように残す必要があります。なぜなら、この場所をとってしまうと思わぬ術後の後遺症(麻痺や言語障害)などをきたしてしまう可能性があるからです。このような重要な場所の近くに位置するてんかん焦点の手術は容易ではありません。

例えば「島回」と呼ばれる脳の一部は前頭葉、側頭葉、頭頂葉といった脳の領域を密につなぐ、いわば空港のターミナルのような役割を担っています。この場所がてんかんの原因となることもありますが、多彩な発作症状を呈するために診断が難しく、また深い場所に位置していて、周りに重要な機能を持った脳領域が近いため、開頭手術では治療が難しい場所でした。

当てんかんセンターでは、開頭手術では治療が困難なてんかん焦点に対して、直接脳を切らずに、脳へ専用の細い棒(凝固プローべ)を刺入し熱によって焦点を焼く治療(定位的てんかん焦点温熱凝固術)を行っています。この治療法は新しいてんかんの治療方法ですが、患者さんの体への負担が少ないことや、重要な機能を損なわずに、良好な発作のコントロールを期待することができます。

当センターでは引き続きてんかん外科治療の向上を目指してまいります。

スクリーンショット 2022-02-04 10.11.50.png

(文責:脳神経外科 高山裕太郎)