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脳神経内科コース

プログラムの目的と特徴

 目的は脳神経内科専門医に求められる神経疾患の診断・治療に関する知識と技術を修得し、独立した脳神経内科の専門医療が行えるようになること、さらに脳神経内科のサブスペシャリティーの確立である。

 当科ではとくにパーキンソン病・ハンチントン病・脊髄小脳変性症・筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、多発性硬化症などの免疫性疾患、筋ジストロフィーなどの筋疾患、認知症、てんかんを専門にしている。稀少疾患からcommon diseaseまで、また発症早期の診断・薬剤導入から進行期の全身管理まで、幅広い診療を経験し、臨床診断、検査、治療、生活指導までを包括的に研修することが可能である。

 神経・精神疾患の高度専門医療施設である当院の特徴をいかし、脳神経内科の研修のみならず、精神科、脳神経外科、小児神経科、リハビリテーション科との連携により神経系全般に対しての知識と経験を深める。同キャンパス内の神経研究所、精神保健研究所のセミナー等に参加することにより基礎研究の考え方に触れる。当センターでは臨床研究を推進しており、当センター内の臨床研究に関する多数のセミナーを受講できる。スタッフを中心とする臨床からの新たな治療法開発に参加することで、臨床能力の研鑽と同時に、臨床研究を進める力をつける。

 日本神経学会認定教育施設として、研修は日本神経学会の定めたガイドラインに沿って、脳神経内科専門医として必要な診断・治療・生活指導などの知識と技術を習得する。

 なお、内科研修制度の改変に伴い、当院は連携施設として後期研修教育に関与することとなる。すなわち、それぞれの基幹施設の内科研修プログラムの中の脳神経内科分野を担当することになる。詳細は未確定だが、各施設のプログラムに対応した柔軟な研修期間の設定も可能であり、不明の点は個別に担当まで問い合わせていただきたい。

 なお、病棟は現在約150床(神経変性疾患を中心とする障害者病棟45床、脳と心の病棟40床筋疾患を中心とする筋ジストロフィー病棟20床、急性期病棟45床)である。

上級専門修練医制度

 神経学会の専門医資格取得後、「上級専門修練医」として、脳神経内科のなかでもサブスペシャリテイーを追求し、一部臨床研究も含めたより専門的な研修を行うコースである。
 当科スタッフはそれぞれの専門分野でも代議員・評議員等指導的な立場にあり、当院としても専門学会の教育施設として機能している。したがって希望するサブスペシャリティと関連した専門学会での研修またそれぞれの専門医・認定医を取得するために必要なカリキュラムは準備されており、必要に応じた年限の研修が可能となっている。
 所属学会については下記のスタッフ紹介項目を参照されたい。

連携大学院

 一定のカリキュラムの履修により、提携を結んでいる山梨大学・千葉大学・東京医科歯科大学大学院の博士号取得が可能である。

研修内容と到達目標

 以下の日本神経学会の卒後研修到達目標に準拠する。

  1. (1)診察
     脳神経内科の診断で最も重要な問診と神経学的診察法を学ぶ。問診と診察により診断を組み立てる過程を身につける。画像検査や遺伝子検査の発達した現在もやはり、自分の五感を使い、患者さんからすべての情報を引き出すことが基本である。新しい疾患概念の確立や新しい治療法の発見も、ベッドサイドでの着想が発端であることも稀ではない。
  2. (2)検査
     研修到達目標にあるように針筋電図、神経伝導速度などの生理検査については1人で検査ができ、かつ結果の判定ができるようにする。研修プログラムのうち、病棟主治医期間も受け持ち患者さんについては検査の見学、指導下で検査を施行する。
     神経筋病理については指導のもと、一人で神経・筋生検、および簡単な染色をして、所見を取れるようにする。またCPCを担当する。当院臨床検査部、神経研究所疾病研究第一部には6000例をこえる筋疾患バンクがあり、年間700例をこえる検体の診断を行っているので、神経筋病理専修期間中はこのバンクを生かして研修する。
     最先端の装置を用いた神経放射線学的検査を行い、画像検査の判読及び解釈に習熟する。
     当院では院内及び他施設と連携して積極的に遺伝子検査を行っており、病因診断を徹底的に行って診療に活用している。確定した病因に立脚した臨床経験は一般化が可能であり、脳神経内科医としての実力を高めることに大きく貢献する。
  3. (3)治療
     当院ではパーキンソン病・ハンチントン病・ジストニアなどのmovement disorders、ALS・脊髄小脳変性症などの変性疾患、多発性硬化症をはじめとする免疫性疾患、筋ジストロフィーをはじめとする筋疾患、認知症、てんかんを専門としている。パーキンソン病については薬物コントロール・脳外科との連携による外科治療を実践する。リハビリテーション部、ソーシャルワーカーなどとの多職種連携による、患者さんおよびご家族への生活指導についても学ぶ。ジストニアについても多数の症例に対して、内服薬・ボツリヌス治療・外科治療を組みあわせての治療法を学ぶ。多発性硬化症も患者さんの状態に応じた最適な治療法の選択と、その背景にある免疫学的な病態を学ぶ。筋ジストロフィーをはじめとする筋疾患は診断とともに、呼吸・循環管理をはじめとする全身管理を学ぶ。さらに多くの疾患において医師主導治験を含めた臨床治験が行われており、これらの先端医療にも参加することが可能である。
  4. (4)遺伝カウンセリング
     神経疾患は遺伝性疾患も多く、遺伝子検査をする場面も多いが、遺伝子検査の特殊性を十分に認識する必要がある。当院は日本人類遺伝学会の認定を受けた教育施設であるので、3年間の教育により臨床遺伝専門医受験資格を得ることが可能である。遺伝カンファレンスに出席し遺伝カウンセリングの実際について研修することが可能である。
  5. (5)臨床研究
     研修中に症例報告も含め2本の論文を書くことを目標にしている。2-3年目には臨床研究プロジェクトに参加したり、臨床研修中に得た着想に基づいた臨床研究を立案し、データを収集して結論を導き出す訓練をする。パーキンソン病1000例・多発性硬化症400例・脊髄小脳変性症300例と、豊富な症例数に基づいて臨床研究を進めることが可能である。また,研修の一環として、日本神経学会総会で臨床研究の発表を行うことが求められている。上に述べたように、臨床研究推進は当センターの使命の一つであり、当センター内で企画される多くのセミナーに参加するとともに、実際に臨床研究に携わり、臨床研究を進める能力を獲得する。
  6. (6)他科ローテーション
     神経疾患では精神症状を呈することも多く、またてんかんやパーキンソン病では外科治療も重要な治療選択の一つとなっており、精神科、脳外科との連携はきわめて重要である。さらに小児発症の筋疾患患者さんを大人になってから診察する機会を得たり、あるいはDRPLAのように成人発症と小児発症で臨床的に大きな差異があるものもある。このような「移行医療」の実践のためには小児神経科の知識も重要である。当院では合同カンファなどにより病棟主治医研修中にも他科医師からの指導を得られるが、希望により3ヶ月間のローテーションが可能であるので、他では得られない研修として活用することを勧めている。
  7. (7)専門疾病センター
     国立精神・神経医療研究センターでは、当院の専門分野の疾患について、各診療部や、検査部、看護部のみならず、同じキャンパス内の神経研究所、精神保健研究所とも連携し、高度専門的医療、診断・治療法開発を行っている。パーキンソン病・運動障害疾患センター(Parkinson disease & Movement Disorders Center ; PMDセンター)、多発性硬化症センター、筋疾患センター、てんかんセンター、睡眠障害センター、認知症センター、嚥下障害リサーチセンターなどがあり、脳神経内科はいずれとも密接に関連している。それぞれのセンターは専門外来や、月1回程度のセミナーなども開催しており、レジデントはこれらに参加することにより、専門分野の研修を深めることができる。

<プログラムの1例>

1年目臨床神経学当院脳神経内科にて病棟担当医(療養病棟)12ヶ月
2年目臨床神経学当院脳神経内科にて病棟担当医(急性期病棟)9ヶ月
[選択]  
(神経病理学)当院臨床検査部にて研修 3ヶ月
(脳神経外科)当院脳神経外科にて病棟担当医3ヶ月
(精神科)当院精神科にて病棟担当医3ヶ月
(小児神経科)当院小児神経科にて病棟担当医3ヶ月
(血管障害)他院連携施設にて3ヶ月

週間スケジュール


毎週脳神経内科及び希望するセンター内スタッフの参加のもとに症例検討会を行っている。このほかに月1回、神経研究所疾病研究第四部によりレジデント向けの基礎研究の抄読会や、脳病態統合イメージングセンター(IBIC)との共同研究検討会なども行われている。

 病院全体の行事として病院カンファレンス(1回/2ヶ月)、ブレインカッテイング(1例/1-2ヶ月)、CPC(1-2例/1ヶ月)、臨床遺伝セミナー(1回/年)などがある。また、国立精神・神経医療研究センター全体の行事として、毎月第4水曜日に若手育成カンファレンスが行われている。
 他科との合同カンファレンスとして、月曜日夕のてんかんカンファ(脳外科、小児科、精神科)、火曜日朝てんかん抄読会(精神科)、木曜午後の神経研究所での筋生検、金曜日朝の筋疾患カンファ(小児科)などがある。さらにリハビリ科とは毎月定期的にカンファレンスを行い、患者情報・治療方針を検討している。
 その他、神経研究所、精神保健研究所主催のセミナーが同キャンパス内で1ヶ月に1回程度催されている。


参考
 日本神経学会 神経内科卒後研修到達目標 臨床神経 1998:38:593-619

指導医リスト

氏名 役職 経歴
水澤 英洋 理事長 東京大医 昭和51年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・指導医
日本脳卒中学会専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医
日本頭痛学会専門医・指導医
日本神経学会前代表理事
日本神経感染症学会理事長
日本神経病理学会理事
全国大学医師会連絡協議会会長
東京医科歯科大学大学院脳神経病態学
(神経内科学)分野特命教授・名誉教授
日本医師会認定産業医
村田 美穂 理事
病院長
筑波大医 昭和59年卒 医学博士
日本神経学会理事
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会認定内科医・指導医
千葉大学客員教授
山梨大学客員教授
東北大学客員教授
パーキンソン病診療ガイドライン委員
MDSJ(日本パーキンソン病・運動障害疾患学会)役員
MDS-AOS Executive Committee
高橋 祐二 脳神経内科診療部長 東京大医 平成6年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医、代議員
日本内科学会総合内科専門医
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医
日本頭痛学会専門医、教育関連委員、評議員
日本頭痛学会ガイドライン委員
大矢 寧 脳神経内科医長 東京大医 昭和62年卒
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本神経病理学会評議員
岡本 智子 脳神経内科医長 滋賀医大 平成元年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医、代議員
日本内科学会認定医
多発性硬化症/視神経脊髄炎診療ガイドライン作成委員
日本臨床免疫学会免疫療法認定医
塚本 忠 脳神経内科医長 筑波大医 平成4年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会認定医
日本認知症学会 専門医、指導医
坂本 崇 脳神経内科医長 京都大医 平成6年卒
日本神経学会神経内科専門医、指導医、代議員
日本内科学会認定医
日本神経生理学会認定医
ボツリヌス療法研究会評議員
徳島大学神経内科臨床教授
ジストニア診療ガイドライン作成委員
森 まどか 脳神経内科医長 信州大医 平成7年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
杏林大学客員講師
ポンペ病診療ガイドライン委員
山本 敏之 脳神経内科医長 札幌医大 平成8年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医、代議員
日本内科学会認定医、指導医
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
日本摂食嚥下リハビリテーション学会評議員
日本摂食嚥下リハビリテーション学会学会誌編集委員
日本嚥下医学会評議員
藤田保健衛生大学医学部客員講師
デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン委員
PSP/CBD診療ガイドライン作成委員
筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン委員
西川 典子 脳神経内科医長 信州大医 平成12年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本臨床薬理学会専門医
日本神経治療学会評議員
荒木 学 病院専門職 滋賀医大 平成6年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会認定医
林 幼偉 脳神経内科医師 京都大医 平成8年卒
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会認定医
日本アフェレーシス学会認定専門医
向井 洋平 脳神経内科医師 徳島大医 平成15年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
齊藤 勇二 脳神経内科医師 長崎大医 平成15年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
古澤 嘉彦 脳神経内科医師 獨協医科大学 平成16年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医
日本内科学会認定医
金澤 恭子 脳神経内科医師 琉球大医 平成16年卒 医学博士
日本神経学会神経内科専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本臨床神経生理学会認定医(脳波、筋電図、神経伝導)
日本てんかん学会専門医

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