

写真左から/中込和幸 理事長、長谷川由美 児童・予防精神医学研究部客員研究員、末吉一貴 リサーチフェロー、住吉太幹 部長
国立精神・神経医療研究センター(NCNP) 児童・予防精神医学研究部 末吉一貴リサーチフェローおよび長谷川由美客員研究員の口演発表に対し、一般社団法人CEPD研究会 2025(第10回)年会・ 優秀賞がそれぞれに授与されました(2025年5月17日、NCNPで開催)。
発表テーマ
末吉一貴
「気分障害の認知機能へのThe Brief Assessment of Cognition in Affective Disorders(BAC-A)日本語版の感受性:健常者と気分障害患者の成績比較」
長谷川由美
「The Screen for Cognitive Impairment in Psychiatry(SCIP)日本語版と主観的認知機能、機能的転帰との関連」
発表概要
うつ病、双極症などの気分障害における認知機能(記憶、遂行機能、注意力など)の低下(認知機能障害)は、患者の社会復帰を妨げる要因として近年注目されています。認知機能障害の評価は一般的に長時間を要することなどから、現時点では、実臨床で使用可能な包括的な測定法はありません。以上の背景のもと、情動刺激が認知的処理に与える影響も併せて測定可能なBAC-Aが、気分障害患者の認知機能障害を鋭敏に検出することを末吉らは報告しました。また、長谷川らは、短時間で実施できるSCIPの信頼性・妥当性を見出し、認知機能障害のスクリーニング検査としての有用性を報告しました。
BAC-A、SCIPとも国際的に用いられており、本邦における日常診療への認知機能評価の実装が期待されます。