バイオリソース部
バイオリソース部は精神・神経・筋疾患の研究基盤となる生物資源(バイオリソース)を収集・管理・提供することを目的としております。これまで、バイオリソースの収集は多くの場合、個々の研究室単位で行われでまいりました。しかし、近年、特に発生頻度の高い疾患(コモン・ディシーズ)の研究では、より大規模な検体数が必要となってきたこと、オミックス解析のような解析技術の向上により試料の品質が重要となってきたこと、収集管理において、より厳しい倫理的基準が適用されるようになってきたこと等から、収集管理業務の負担が年々増してきております。さらに、研究室単位での収集では、同様の収集を別の研究室で行っていたり、いくつかの関心分子を解析した後は検体が死蔵されていたり、主任研究者の異動などで貴重な検体やデータが散逸したり等、効率の点でも問題がありました。そこで、当センターでは、より質の高いバイオリソースを収集し、適切に管理することを目指し、バイオリソース管理室を設けました。現在は、室長以下、専属スタッフとして5名の臨床心理士、3名の臨床検査技師、3名からなるシステム・エンジニア、データマネージャーが在籍し、同意取得から、情報・検体採取・処理、データベースシステムによる試料・情報管理を行っております。
これまで、NCNP内の様々な検体研究をサポートしつつ、主な活動として脳脊髄液(CSF)の収集とバイオバンクの構築を行ってきました。CSFはもっとも脳に近い臨床検体の一つで脳神経疾患の重要なバイオリソースです。我々は2010年より病院や研究所と連携しつつ当センター内によけるCSFの研究用保存を行い、これまでに1100以上の高品質CSF、2500以上の検査余剰CSFを収集しております。また、2013年より、6つのナショナルセンターが共同し、一元的なバンクをつくるナショナルセンター・バイオバンク・ネットーワーク・プロジェクトの一環として、当センターにおけるバイオバンクの構築を行い、包括的同意を得た試料収集を開始し1500以上の血液・DNAを収集しました。

また、限りある検体で最大の医療・医学上の効果を得るため、提供者の意思をできるだけ反映させるためには、利用の際の適切な審査が不可欠です。一方で、研究を活性化するためには、審査手続きをよりシンプルにし、迅速化させることも必要です。そこで、2014年よりバイオリソース管理室より、利活用事務局を独立させ利活用推進室としました。同室は利用者とのインターフェースを果たす専門の部署として、バイオリソース管理室、倫理委員会、ビジネスデベロップと連携しながら、できるだけ良い研究に、より適切かつ迅速に、検体を提供することを目指しております。現在までのところ利活用推進室が扱うのは包括的同意が得られた「ナショナルセンターバイオバンク」の血液・DNA・脳脊髄液に限られますが、収集や利用にかかわる研究者・医師らの要望に合わせて、今後拡大していくことも検討しております。
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