NCNP 精神保健研究所 精神薬理研究部 古家宏樹室長が日本臨床精神神経薬理学会・日本神経精神薬理学会合同年会で優秀プレゼンテーション賞を受賞

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2018年11月30日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)精神保健研究所(所長:中込和幸)精神薬理研究部(部長:山田光彦)の古家宏樹(ふるいえ ひろき)室長が第28回日本臨床精神神経薬理学会・第48回日本神経精神薬理学会 合同年会で(開催時期:2018年11月14~16日; 開催地:東京ドームホテル)において、優秀プレゼンテーション賞を受賞しました。

  • 受賞タイトル:
    「新生仔期ラットへのNR2A選択的拮抗薬慢性投与は成体期に統合失調症様行動異常を引き起こす」
  • 発表概要:
    出生後早期のグルタミン酸N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体遮断は、ラットの脳の正常な発達を妨げ、成体期に統合失調症様行動異常を生じさせることが知られていました。発達期の脳がNMDA受容体遮断に対して脆弱であるのは、NMDA受容体を構成するサブユニットNR2AおよびNR2Bの発現比率が成体期の脳と異なるためと考えられます。しかし、新生仔期NMDA受容体遮断の効果がどちらのサブユニットを介しているのかは明らかではありませんでした。今回、我々の研究により、新生仔期ラットのNR2Aサブユニットの慢性遮断は、発達後の聴覚刺激への応答過敏、作業記憶機能の低下、MK-801誘発性過活動の亢進をもたらすことが示されました。この結果は、出生後早期の正常な脳発達にNR2Aを含有するNMDA受容体を介したシグナル伝達が必須であり、これが妨げられると成体期のラットにおいて統合失調症様の行動異常が生じることを示唆しています。本研究の結果は、統合失調症の病態解明に資するものであり、新規治療法の開発に役立つものと考えられます。

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