NCNP 神経研究所 疾病研究第四部 Contu Viorica Raluca 研究員がThe 9th International Symposium on AutophagyにてBest Poster Awardを受賞しました。

NCNP 神経研究所 疾病研究第四部 Contu Viorica Raluca 研究員がThe 9th International Symposium on AutophagyにてBest Poster Awardを受賞しました。

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2019年11月15日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)神経研究所(所長:和田圭司)疾病研究第四部第一研究室(室長:株田智弘)のContu Viorica Raluca (コンツー ヴィオリカ ラルカ)研究員が、The 9th International Symposium on Autophagy (2019年11月3日~7日台北にて開催)においてベストポスター賞を受賞しました。

受賞演題

RNautophagy: mediators and mechanisms at the cellular level
(RNautophagyの細胞レベルにおける関連因子とメカニズムについて)

研究概要

RNA代謝においてRNA分解は中心的な役割を担っており、生体の恒常性維持には不可欠です。細胞の主な分解の場であるリソソームの内部に存在するRNA分解酵素RNaseT2の機能欠損は神経変性疾患を引き起こすことから生体の恒常性維持機構及びその破綻による病態機序の解明において、リソソームによるRNAの分解に関する研究は極めて重要だと考えられます。

RNautophagyは2013年に私たちが新しく発見したリソソームによるRNA分解経路であり、RNAが直接リソソーム内に取り込まれ、分解されます。RNautophagyにおいてLAMP2のスプライスバリアントの1つであるリソソーム膜タンパク質LAMP2CがRNAと結合し、受容体として機能することを報告しています。また、線虫においてRNAトランスポーターとして機能するSID-1のリソソーム局在を示す哺乳類オルソログの1つであるSIDT2がRNAのリソソーム内への取り込みを仲介することも見出しています。細胞内におけるRNA分解においてSIDT2を介するRNautophagyは重要な経路の1つであることも実験的に強く示しております。本研究ではSIDT2を介するRNautophagyにおいてリソソームがRNAを取り込む分子メカニズムに着目して研究を進めました。

最初に、SIDT2のアミノ酸配列を分析し、種間で保存されているいくつかのモチーフを見つけました。そのうち、3つのYxxɸモチーフはSIDT2のリソソーム膜への局在を制御することが明らかとなり、これらの3つのYxxɸモチーフによるSIDT2のリソソーム局在はSIDT2を介するRNautophagyの活性に必要であることが示されました。リソソーム局在が主ではないSIDT1にSIDT2の3つのYxxɸモチーフを導入するとこのSIDT1変異体はリソソームに局在を示し、またSIDT2と同程度細胞内RNA分解を促進しました。これらのことからSIDT2の3つのYxxɸモチーフが実際に機能していることが確認されました。

次に、LAMP2CとSIDT2の比較解析を行いました。その結果、LAMP2CとSIDT2のRNautophagy活性化能の違いが明らかとなりました。また、RNautophagy活性化能に必要な機能性アミノ酸配列を同定しました。
本研究成果は細胞内におけるRNA分解の理解とRNAが関与する疾患の分子基盤の解明と治療法開発に役立つことが期待されます。

なお本研究は、文部科学省科研費及び精神・神経疾患研究開発費の支援により行われました。

神経研究所 疾病研究第四部ホームページ