発達障害者支援研修

発達障害者支援研修

 発達障害のある当事者の支援ニードは、幼少期の早期の気づきと発達支援、学童期の特別支援教育、成人期の就労や日常生活自立、自己実現、老年期の日常生活や身体のケア、家族への心理教育や養育支援など多岐にわたります。発達障害に対する専門的医療は、児童精神科や一部の成人精神科、小児神経科などで提供されていますが、診療ニードは専門的医療の提供をはるかに上回り、地理的にも偏在しています。発達障害は有病率も高い、身近な障害です。そのため、最初に相談を受け、または診療することの多い小児科医、精神科医、その他の診療科の医師(かかりつけ医)が、発達障害の可能性に気づき、初期相談に応じ、必要に応じて専門医療機関や支援機関に連携をとることが大切です。そのために、平成28年より各地で開催されているのが、かかりつけ医等発達障害対応力向上研修です。

 知的・発達障害研究部では、国研修の一環として、都道府県における発達障害支援の拠点的医療機関の医師等を対象として、研修修了後に指導的な立場から、各地域におけるかかりつけ医などに対して発達障害支援に関する情報や技能を伝達する講師となるための包括的知識を習得することを目的として、発達障害者支援研修を実施しています。研修は、指導者養成研修パートⅠ、Ⅱ、Ⅲ(いずれも2日間)から構成されます。また、本研修は、行政的な立場で各自治体のかかりつけ医等発達障害対応力向上研修の実施に携わる職員や発達障害者支援センター職員を対象とした行政実務研修(2日間)を実施しています。いずれも受講料は無料です。

 予定されているテーマは以下の通りです(変更の可能性があります)

指導者養成研修パートⅠ

  1. 発達障害児・者に対する行政施策
  2. 発達障害のある子と養育者の支援
  3. 発達障害のある子への療育
  4. ペアレント・トレーニング
  5. 発達障害と身体疾患ー診療時の対応の工夫
  6. 学童期・思春期の課題とその支援
  7. 学校生活、特別支援教育の実際
  8. 成人期の日常生活、就労への支援

指導者養成研修パートⅡ

  1. 高齢期の生活実態と支援
  2. 併存する精神疾患とその治療
  3. 発達障害の支援ニードにおける当事者の視点
  4. 発達障害の支援ニードにおける家族の視点
  5. 女性の発達障害
  6. 発達障害と司法的問題
  7. 発達障害のある人の権利擁護
  8. 発達障害支援における機関連携と支援情報

指導者養成研修パートⅢ

  1. 発達障害と不登校・ひきこもり
  2. 発達障害とジェンダー
  3. 発達障害と被虐待
  4. 強度行動障害
  5. 重度心身障害児・者への医療と支援
  6. 発達障害と遺伝
  7. 外国にルーツを持つ児童の支援
  8. 当事者や家族のネットワークと支援

行政実務研修

  1. 発達障害児・者に対する行政施策
  2. 乳幼児検診のおける早期発見と療育、家族支援            
  3. 特別支援教育と学校外活動の支援―家庭・教育・福祉の連携      
  4. 発達障害者の就労・生活自立・余暇活動の支援            
  5. 医療における課題―初診待機解消、初期診療医の育成、医療連携    
  6. 司法領域における連携と地域定着援助                
  7. 不適切養育や犯罪被害、被災を経験した子どものケア         
  8. 発達障害の啓発と権利擁護、地域連携構築  
               

申し込みは、精神保健研究所ホームページ「精神保健に関する技術研修」からお申し込みください。 https://www.ncnp.go.jp/info/2022/seiken-kensyu_R4.html


国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 知的・発達障害研究部

〒187-8553 東京都小平市小川東町4-1-1 TEL:042-341-2711(代表)