これまで行われてきた主な研究プロジェクト
|
就学前後の児童における発達障害の疫学研究
(こころの健康科学研究事業)
|
地域の協力を得て、就学前後(4-5歳)の児童を対象に、広汎性発達障害あるいは注意欠陥多動性障害の発達障害の有病率、発達障害に合併する精神医学的障害の頻度を明らかにするための疫学研究を行ないました。
診断を受けておらず、支援も受けていないまま就学する発達障害の児童は多く、地域の支援体制の整備につながる成果が得られました。
Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)については、こちらもご参照ください。
|
精神医学的障害の早期発見と早期介入:
児童期から成人期への連続性・不連続性の解明研究
(精神・神経疾患研究委託費)
|
発達精神医学的な観点から、青年期あるいは若年成人で発症する精神疾患の児童期における早期発見・早期介入可能性とその根拠となる病態メカニズムを明らかにするための研究を行ないました。
臨床への応用研究としては、児童を対象として前向き研究を行うと同時に、早期介入のための治療プログラムの開発と効果検証を行い、簡便な診断バッテリーの提案やクリニカルパスの検討を行ないました。 |
発達障害の子どもと家族への早期支援システムの社会実装
(社会技術研究開発事業「研究開発成果実装支援プログラム)
|
発達の問題を抱える子どもは、子ども全体の数%と想定されてお
り、そのような子どもと家族に対する早期支援のための人材育成は喫緊の課題となっています。
本活動では、支援を必要とする子どもを地域で早期発見し、適切な発達評価や育児への助言を行った後に専門機関につなぐことができるように、地域の保健師や
小児科医が系統的にスキルアップでき、かつ相互の臨床的経験知を共有できるe-ラーニングを活用した学習ツールを開発し、早期支援システムの社会実装を目
指します。
発達障害の子どもと家族への早期支援システムの社会実装
(社会技術研究開発事業のホームページへ)
研究開発成果実装支援プログラム 平成21年度報告書
研究開発成果実装支援プログラム 平成22年度報告書
研究開発成果実装支援プログラム 平成23年度報告書
研究開発成果実装支援プログラム 実装支援プロジェクト 終了報告書
研究開発成果実装支援プログラム 評価報告書
「脳科学と社会」研究開発領域、同領域研究開発プログラム「脳科学と教育」
(タイプII)及び同プログラム平成16年度採択研究開発プロジェクト事後評価報告書
「戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)「脳科学と社会」研究開発領域
研究開発プログラム「脳科学と教育(タイプⅡ)」追跡調査報告書
e-learningの学習ツールの例:
ご自由にダウンロードして研修や配布などご利用いただいて結構です。
商業的目的のための利用はご遠慮ください。
専門家向け
(保健師、小児科医、心理士など)
①1歳から始めましょう発達障害早期総合支援
②自閉症スペクトラム障害(ASD)の早期発見のポイント(主に小児科医向け)
③親支援:最初のステップ
④子どもの特徴の親への伝え方
親向け
個別評価後に必要に応じてハンドアウト資料としてご利用ください
⑤ペアレンティング:環境づくりのコツ
⑥ペアレンティング:声かけのコツ
⑦ペアレンティング:子どもとの遊びを楽しむコツ
⑧ペアレンティング:子どもの意欲を育むコツ
親向け
すべてのお子さんの親向けにお使いいただけます。
例えば、10か月健診など1歳前にハンドアウト資料として育児支援の参考資料としてご利用ください 。
なお、⑩⑪⑫の諏訪地区作成のリーフレットのデータを使用される場合は、使用される相談機関名と連絡先を、裏面にご記入の上、ご使用ください。⑩⑪⑫の諏訪地区作成のリーフレットのデータのご使用にあたってご質問がある場合は、諏訪保健福祉事務所管内保健業務研究会(事務局:諏訪保健福祉事務所)0266-57-2927にお問合せください。
⑨1歳児対象:1歳を迎えるお子さんをもつ保護者の方へ
⑩1歳半児対象:見て見て1歳6か月児~子どもの心と体を育てよう~(諏訪地区作
成)
⑪2歳児対象:イヤイヤ2歳児~子どもの心と体を育てよう~(諏訪地区作成)
⑫3歳児対象:わんぱく3歳児~子どもの心と体を育てよう~(諏訪地区作成)

※当プロジェクトが舞鶴市の広報に紹介されました
|
発達障害の疫学研究
(こころの健康科学研究事業)
|
全国の通常学級在籍小・中学生に質問紙を用いた調査を行い、同時に地域に住む子どもを対象に精神医学的面接と質問紙を用いた疫学研究を実施した結果、次のことが明らかになりました。
今回の疫学調査によれば、現行の国際的診断基準(DSM-IV-TR)に従って顕著なPDDの特性を示す層(有病率)は、わが国では人口の0.9-1.6%が該当する可能性があります。
(この有病率は年代による差が小さく、どの年代でも同様の有病率であることが想定されます。)
さらに、国際的に有用とされている対人応答性尺度(SRS)を用いた全国調査からは、顕著ではないがPDDの特性を示す者(特性の一部、もしくは全般ではあるが目立たない形で)までを捉えると、人口の10%超が該当する可能性があります。
ただし、子ども全体の示すPDDの特性については、なだらかな連続的分布を示すものとなるため、特定の評価点だけで障害の有無を区分する事は非常に困難で、個々のニーズ評価にもとづく支援を個別的に行う事が現実的であります。
また、PDDの特性を持つ者は、その他にも不器用さ(66.4%)、情緒的な問題(47.6%)、注意を向けたり維持することの苦手さ(38.0%)等の症状を合併する場合が多く、これらの症状が就学後に目立って対応が必要になる場合も多いことから、長期的な視点からは幼児期の早期発見・早期支援の充実はその後の途切ないフォローに役立て、さらに学齢期以降にもメンタルヘルスの観点から丁寧な観察や対応を行う必要性があります。
Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)については、こちらもご参照ください
|
 |
精神科医療における発達精神医学的支援に関する研究
(精神・神経疾患研究委託費)
|
最近、思春期から成人の診断・治療を行う一般の精神科医療場面においても、うつや不安など様々な主訴を持つ患者の病理の背景に、自閉症スペクトラムを含む発達障害が潜んでいることが注目されつつあります。
種々の精神疾患の症状に発達障害の症状が加味されると、臨床像は複雑になり、治療方法の選択も変わってきます。 本研究では、成人になってから精神科を受診する発達障害成人患者および医療側のニーズを明らかにし、それにもとづいて、多職種チームで取り組める外来および入院でのクリニカルパスを作成、導入を試み、提案を行いました。
また診断、治療に関する、現時点でのエキスパート・コンセンサスをもとに、必要最小限の知識と症例を整理し、マニュアルと事例集を作成しました。 さらに、複数の機関におけるデータの集約から、診療場面や福祉機関で簡便で使用しやすい2次スクリーニング法の有用性が確認されました。その他、院内診療支援モデル、多職種連携モデルなど、今後のシステム構築のモデルとなる試みを報告しました。 |
1歳から社会的発達に関する前向きコホート研究:
「社会性の発達メカニズムの解明:自閉症スペクトラムと定型発達」
科学技術振興機構,社会技術研究事業「脳科学と教育:タイプII」プロジェクト
|
本研究プロジェクトは、1歳から社会性に関連する行動、認知、そして脳機能レ ベルでの発達過程を調べると同時に、長いスパンでの発達的変化を抽出する目的で行われました。学童、青年・成人から成る異なる年齢帯での社会性に関連する 認知機能と脳機能を調べ、自閉症スペクトラムの発達の非定型性と多様性を本研究によって明らかになりました。この研究プロジェクトは地域ベースで行われ、 自閉症スペクトラムに関連する早期の行動特徴を1歳6ヵ月健診の機会に見逃さずに発見し、一人ひとりの子どもとその家族のニーズに応じた支援につなげるた めのエビデンスとして社会に還元できるため、本研究終了後は、科学技術振興機構社会技術研究開発事業「研究開発成果実装支援プログラム」の助成を受けて、 全国のどこの地域においても、乳幼児健診の機会を活用して発達障害の早期発見・早期支援が可能となるように、M-CHATを用いた「発達障害の子 どもと家族への早期支援システムの社会実装」を複数の自治体に実施しています。
M-CHATに関するQ&Aはこちら |