【研究活動】成人精神保健研究部
 





PTSDに対する持続エクスポージャー療法に関する指導者育成システムの研究
現在各国のガイドラインでPTSDに対する治療法として最もエビデンスがあるとされている,持続エクスポージャー療法(Prolonged Exposure Therapy)の治療者の効果的育成についてのシステム研究を行った.(金)2014~
複雑性PTSDに関する認知行動療法の検討
ICD-11で導入が予定されている複雑性PTSDに対するSTAIR/NST治療を導入し,スーパーバイズ体制を構築し,資料を標準化した.(金)2013~
東日本大震災後の精神健康調査
東日本大震災後の行政職員(県職員,教職員),児童生徒,地域住民の精神健康調査について,各関係機関に専門的技術支援を行い,解析等を担当した.(鈴木,深澤,金)2013~
複雑性悲嘆の認知行動療法の効果に関する研究
米国のShearらによって開発された複雑性悲嘆の認知行動療法の有効性をオープントライアルにて検証を行なった.18例が登録し15例が治療を終了し,目標症例数に達したことから登録は終了した.現在結果を解析中であるが,良好な結果を得ている.また,Wagnerらによって開発されたインターネットを利用した複雑性悲嘆の認知行動療法についてもオープントライアルを行っている.(中島,伊藤,白井,小西,成澤,正木,松田,金)2014~
性暴力被害者向け支援情報の提供のあり方についての研究
性暴力被害者救援センターなどを対象とした被害者向けの支援情報パンフレット「一人じゃないよ」について,性暴力被害者救援団体,犯罪被害者等早期支援団体を対象に有用性についての評価調査を行った.全体として有用であるという評価を得た.現在結果を分析し,公表した.(中島,淺野,小西,金)2014~
PTSDの病態解明と治療効果予測法開発に向けた,遺伝子・バイオマーカー・心理臨床指標による多層的検討
トラウマ体験者(PTSD発症群,非発症群)と健常者を対象とし,遺伝子解析(遺伝子多型,遺伝子発現,DNAメチル化),内分泌・免疫系や自律神経系指標を含むバイオマーカー測定,脳MRI計測,認知機能測定,多角的な心理・臨床的評価を行う.PTSD発症群に対しては持続エクスポージャー療法等の治療を行い,治療反応性との関連も検討する.これらの検討により,PTSDの病因・病態解明,生物学的指標に基づく客観的治療効果予測法の開発を目指す.(堀,関口,伊藤真利子,林,伊藤まどか,金)2015~
PTSDに対するメマンチンの有効性に関するオープン臨床試験
PTSD患者を対象として,アルツハイマー型認知症の治療に用いられているNMDA受容体拮抗薬メマンチンを投与し,PTSD治療におけるメマンチンの有効性を検討する.PTSD症状と認知機能を主要アウトカム指標とする.本研究では,予備的検討としてオープン臨床試験を行い,効果サイズや安全性を検討することにより,その後予定しているRCTのプロトコールを作成することを目的とする.(堀,金)
災害時精神保健医療ガイドライン作成
国内外のガイドラインを精査し,その内容を解体的に再統合し,包括的ガイドラインと災害データベースの構築を行っている. (金,島津,小林,篠崎)
地域精神保健相談の実態調査
自治体,保健所における相談業務のなかで精神保健医療関係の相談が占める割合と,対応上の負担等の実態に関する全国アンケート調査を行い,結果を解析した. (金,島津,篠崎)
ストレス関連疾患の疾患横断的なバイオマーカー検索のための脳MRI研究
ストレス関連疾患において,疾患の枠組みを超えて疾患横断的に治療対象となる認知的特徴や心理的指標,行動指標ごとに特異的な脳内情報処理や脳神経回路ダイナミクスの異常の解明を目指す.(関口,菅原彩子,伊藤真利子,林,伊藤まどか,堀,金)

<過去の研究活動>(担当員は当時)
PTSDに対する持続エクスポージャー療法の効果に関する研究
現在各国のガイドラインでPTSDに対する治療法として最もエビデンスがあるとされています,持続エクスポージャー療法(Prolonged Exposure Therapy)の治療効果についてのRCTを実施した.(金,中島,伊藤,島崎,岡島)2008~2013
睡眠剥奪が情動記憶の意図的な形成回避に及ぼす脳機能への影響
睡眠剥奪は恐怖情動記憶の般化を選択的に消去するが,意図的に恐怖記憶の獲得を回避すると,恐怖記憶の般化をかえって促進する事が明らかとなった.これはトラウマ受傷後の睡眠剥奪はPTSD発症を予防する可能性を示唆する半面,重度のストレス体験に対して防衛機制が働き,記憶獲得能が麻痺した症例においては,かえってPTSDの発症を促進し,重症化・遷延化を促すリスクファクターとなりうる可能性を示唆している.現在,機能的MRIを用い本現象の背景となる脳機能の検討を行った.(栗山,池田,本間,吉池)2013~2015
繰り返しの視・触・位置覚統合学習により生じる錯覚効果への情動の影響
複数の知覚情報を同時処理し事象を統合的に認知する能力は,情動的な文脈により影響を受ける.我々は,視・触・位置覚統合学習効果を錯覚として定量化することができるラバーハンドイリュージョン現象における情動刺激の影響を機能的MRIを用い検討した.(本間,栗山,吉池,池田)2013~2015
恐怖条件づけ学習におけるCOMT遺伝子多型の影響
COMT (catechol-O-methyltransferase)は,ドパミンをはじめとするカテコールアミン類を分解する酵素の一つであり,ヒトではCOMT遺伝子にエンコードされている.COMT活性は記憶機能に影響することが示されており,さらにはエストロゲン等の性ホルモンの活性に影響することが示唆されている.我々は,COMT遺伝子多形が恐怖条件づけ記憶に及ぼす影響およびその性差に関して検討を行った.(栗山,吉池,池田)2015
高照度光が恐怖条件づけ学習の消去に与える影響
高照度光はヒトの学習機能を促進することが示されている.恐怖条件づけ消去学習は,不安障害やストレス関連障害の治療戦略である認知行動(暴露)療法の認知モデルであり,我々は高照度光曝露が,これを促進するか検討することで新規治療法の開発への発展を検討した.(吉池,栗山,池田)2015
複雑性悲嘆の生物学的基盤に関する研究
悲嘆が遷延化した状態である複雑性悲嘆については,報酬系の活性化や,愛着に関わる脳活動領域や,選択的注意に関わる脳活動領域等の異常が疑われているが,現段階では研究も少なく,脳機能における病態は不明確である.本研究は,複雑性悲嘆に特徴的な生物学的基盤を認知課題を使った機能的磁気共鳴画像を用い検討を行うことを目的としている.現段階で複雑性悲嘆・閾値下の複雑性悲嘆の被験者17例及び対照被験者14例が登録・終了しており,引き続き検討を行った.(吉池,栗山,中島,池田,大村,本間,淺野)2015
複雑性悲嘆の集団認知行動療法の開発及びその効果に関する研究
昨年度開発した複雑性悲嘆の集団認知行動療法(group cognitive therapy for complicated grief, G-CGT)のプログラム(全6回)の安全性と有用性について検討を行っている。現在研究協力機関において、軽度の複雑性悲嘆患者を対象に、単群での前後介入比較試験を実施した。(中島,黒澤,松田,淺野,成澤,正木)2015
家庭内暴力(DV)被害者の支援に関する研究
東京女子医科大学女性生涯健康センターとの研究協力により,家庭内暴力の被害を受けた母親と子どもの中長期的な精神状態の変化と,支援のあり方についての研究を行った.(金)2008~2010
交通外傷後の精神健康に関するコホート研究
我われは、都内の救命救急センター(文献)に交通外傷の治療目的で搬送される重傷者を3年間追跡し、精神疾患とQOLを検討するコホート研究(文献)を行っています。これまでに、事故1ヶ月時点において3割の患者が何らかの精神疾患の診断基準を満たし、事故時に生命への脅威を感じた人、入院時の心拍数が高かった人、恐怖記憶の症状が強かった人ほど精神疾患を発症しやすいということが分かりました(文献,文献)。精神疾患はQuality of Lifeにも影響を及ぼしていることも分かりました(文献)
事故後PTSDの有病率は、研究方法が確立された先進諸国の間でも差があります。そこで、我われは、日本の事故6カ月時点のPTSD有病率(5.7%)を明らかにしたうえで、医療技術や公衆衛生の水準および生活水準などを反映する乳児死亡率が各国間の有病率の相違と関連しているかどうかを検討しました。その結果、乳児死亡率が高い国ほど事故後PTSDの有病率が高いという生態学的関連を見出しました(文献)。(松岡、金)2008~2012
新潟県中越地震および中越沖地震における地域住民の精神健康追跡調査
新潟県小千谷市および柏崎市,刈羽村、出雲崎町における住民の精神健康調査を実施した.(金,中島,鈴木)2008~2012
Peritraumatic Distress Inventory日本語版の信頼性と妥当性の検証
外傷体験直後の苦痛を包括的に評価する自己記入式質問紙Peritraumatic Distress Inventory (PDI)日本語版を作成し、その信頼性と妥当性を検討しました。その結果、PDI日本語版は内的一貫性、再試験信頼性、外的妥当性、弁別妥当性がいずれも高いことが示されました(文献)。さらに、PDI日本語版はPTSD発症のリスクが高い者と低い者を予測する上でも有用であることを検証しました(文献)。(松岡,金)
ω3系脂肪酸によるPTSD予防法の開発
交通事故や転落などで重傷を負うと、PTSDを発症する危険があります。我われは、ω3系脂肪酸による海馬の神経新生促進が、海馬依存性の恐怖記憶減弱を介してPTSD発症予防に働くとの仮説を立て、ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験(RCT)を行っています。RCTに先立って実施したオープン試験の結果、ω3系脂肪酸はPTSD発症予防に有効である可能性が示唆され、世界に先駆けて発表しました(文献)。(松岡)
性暴力被害者の急性期心理ケアプログラムの構築に関する研究
産婦人科医療現場での性暴力被害者の治療の実態と産婦人科医師の意識を調べるため日本女性心身医学会に所属する産婦人科医師341名を対象に自記式調査を行った(回収率49.9%).過去に性暴力被害者の診療を経験のある医師は81.3%であり,73%は治療に関心を持っていたが,スタッフ数や照会先精神科医療機関の不足を感じている割合が高く,精神科との連携には乏しいことが明らかにされた.(中島,伊藤,金)2009~2010
恐怖記憶の形成とその背景脳活動に関する研究
PTSD発症プロセスを解明するために,恐怖記憶想起における脳活動の特徴を,健康成人を対象に交通事故映像を刺激として機能的MRIにより検討した.恐怖記憶の想起には情動想起と出来事想起とで異なるパフォーマンスを示した.事故に関連した想起には補足運動野の活動が特異的に高まり,情動記憶の強化には前帯状皮質の活動上昇が関連していることが示唆された.さらに,トラウマ記憶は,無意識的・潜在的に想起されることが知られている.このため,恐怖刺激と非恐怖刺激とで潜在的想起過程に差があるか,サスペンス映画を記銘課題としERPの早期成分を脳活動指標として用い検討した.恐怖記憶は非恐怖記憶に比べ潜在想起が促進される傾向があり,言語化過程を経た想起においてより処理が早まることが示唆された.(栗山)2008~2009
睡眠剥奪が時間知覚に及ぼす影響,恐怖記憶の形成に関る不眠の影響に関する研究
時間知覚は概日変動を示すが,睡眠剥奪によりこの変動が減衰することが示唆されている.この現象に前頭葉活動の変化が関与していることが推測されるため,近赤外線スペクトロスコピーを用い時間知覚変化と前頭葉活動変化との関係を検討した.時間知覚変動の減衰と左側前頭極の活動上昇とが相関を示し,これは徹夜による前頭葉の機能代償の結果であることが示唆された.また,ストレス性障害に不眠を合併する率は極めて高く,不眠のストレス性障害発症もしくは症状推移に与える影響は無視できない.このため,睡眠剥奪により恐怖記憶の形成・強化に与える影響を機能的MRIを用い検討した.(栗山)2008~2009
恐怖条件付けの形成・消去過程におけるD-サイクロセリン, バルプロ酸の効果の検討
PTSDの病態に恐怖条件付け過程が関与していることが想定されている.マウスの条件付け消去においてD-サイクロセリンおよびバルプロ酸が消去過程を促進することが示唆されており,ヒトでもこれらの薬剤が恐怖条件付けの消去に有効であるか,脳波及び行動指標にて検討した.(栗山,金)2009~2010
精神障害に対する偏見・差別除去に関する介入研究
精神障害をもつ人びとが経験した差別に関する国際共同研究,INDIGO研究に参加した.なおこの親研究はLancet紙で発表された.日本の参加者データについて,親研究と別途分析して,量的および質的に分析をした.また,精神疾患に関する差別除去の目的で,臨床研修医を対象にメンタルヘルス・ファーストエイドプログラムの実証研究を行った.(鈴木)2008~2012
健康危機体制における精神保健支援の在り方に関する研究
全国の保健師や精神保健福祉センターを対象として,災害時の精神保健対応に関する準備状況 について自己記入式調査を行った.精神保健対応のニーズは把握しているものの,具体的な準備体制の研修の整備は限定的であることが明らかになった.(鈴木,金)2009~2013
メンタルヘルス・ファーストエイドに関する介入研究
精神科以外の医師や対人サービス職にある人を対象に、精神健康の危機状況に対応するスキル向上を目指す、メンタルヘルス・ファーストエイドプログラムの日本語版を開発した。その実証研究として、臨床研修医を対象に効果評価研究を行った.(鈴木)
犯罪被害および災害被災者に対する心理ケアプログラムの開発研究
心理的応急処置(PFA)に代表される急性期心理介入プログラムを参考に、日本の現場に即した①犯罪被害後と②大規模災害・事故後の対応技法に関する研修プログラムを開発し、その内容の適切性、有効性について精神保健の非専門家を含む支援者によって評価し、支援者が入手しやすいようにインターネット上で使用できるプログラムの開発を行った.(中島、鈴木、金)2010
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