研究部の紹介

薬物依存研究部では、薬物乱用・依存に関する研究・研修業務を軸に活動しています。主たる研究は、①薬物乱用実態把握のための疫学研究、②薬物依存症治療に関する臨床研究、③薬物依存症に係る家族支援研究、④薬物依存に関する神経科学的基礎研究を実施しています。また、医療従事者等を対象とした研修会を通じ、薬物依存症治療の専門家育成に尽力しています。さらに、啓発用資料・教材作成の支援等を行い、幅広く社会への還元を行っています。

疫学研究

 薬物乱用・依存の実態把握ための疫学研究を実施しています。全国規模の調査としては、薬物使用に関する全国住民調査(1995年より)、飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識調査(1996年より)、全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(1987年より)を実施し、わが国の薬物乱用・依存対策の基礎資料を作成しています。いずれも経年的に実施され、わが国で唯一の薬物乱用・依存に関わるモニタリング調査です。

基礎研究

 危険ドラッグをはじめとする乱用薬物の薬物依存性並びに毒性に関する評価研究を実施しています。薬物の依存性評価については、条件付け場所嗜好性試験による動物実験による解析を行っています。毒性評価につきましては、初代神経培養細胞や各種樹立培養細胞を利用して、迅速な評価研究が実施されています。基礎研究を通じて、薬物依存形成メカニズムの分子基盤に基づく、薬物乱用の危険性予測に関する研究を実施しています。

臨床研究及び家族支援研究

 薬物依存症者の治療効果・予後に関する研究と、家族支援に関する研究を実施しています。治療効果・予後に関する研究では、薬物依存症の再発を防止する認知行動療法プログラムの開発、効果測定、予後観察及びプログラムの普及を行います。家族支援に関する研究では、家族心理教育プログラムの開発、効果測定及びプログラムの普及を行います。これらの研究により、薬物依存症治療と家族支援の全国的な質の向上及び均てん化をはかります。