はじめに

遺伝子診断は遺伝子異常の有無に基づく診断法であることから正確に判定を下すことができ、 究極の診断法と考えられてきました. 一方ヒトゲノム解析研究の進展によりさまざまな疾患遺伝子が同定されてきました.遺伝子が同定されれば技術的には遺伝子診断が可能となるわけですが、実際に臨床の場に有用な遺伝子検査法が確立したものはこの中の一部に過ぎません. 臨床的に有用な遺伝子検査とは、診断率が高くかつ迅速なものを指すと思います.しかし一般 の臨床の先生方にとってはどの疾患の遺伝子診断は有用でどれは有用でないか、ということを判断することは容易ではないと思われます. これまで疾患ごとに責任遺伝子を示すようなハンドブックや解説書は多数刊行されてきました.しかしそこから一歩踏み込んで、どの疾患であれば遺伝子診断を行う価値が高く、どの疾患においては低いかという点まで言及したものはありませんでした.そこでわれわれは厚生労働省の助成を受け、一般 の医師が医療の現場で遺伝子診断の是非を検討する際に参考となるような、遺伝子診断のマニュアルを作成することに致しました。
このマニュアルの主な内容は以下の2点となります.




1. 現在使用されている発達障害疾患の遺伝子検査を科学的有用性と技術的有用性それぞれの良否から、以下のように4つに分類しました.
技術的有用性 (迅速性・経済性)
高い
低い
科学的有用性
(診断率・方法の確実性)
高い
I
II
低い
III
IV

2. 疾患ごとに遺伝および遺伝子に関する一般 的な解説をし、さらに現状で適切と思われる遺伝子検査手順を図で示しました.  



遺伝子検査に関する情報は遺伝子解析の進展と共にすぐに古くなることが予想されます.
そこで、このマニュアルの内容は書物として刊行するのではなく、最新情報に対応して適宜version upができるように、ウェブサイト上で公開することに致しました.また昨今の遺伝子診断施行に伴う際の倫理面 への配慮を鑑みて、遺伝子診断に際して配慮すべき事項についても言及致しました.  
なお国内の遺伝子検査可能施設に関する情報は京都大学のウェブサイト上にある「いでんネット」に、国外の遺伝子検査可能施設は米国ワシントン州立大学が運営していている「GeneTest」にリンクさせる形式をとりました. 今回開示した内容はまだ一部の発達障害疾患に関するものであり、今後は最近わが国で遺伝子が同定されたSotos症候群なども含めて、疾患遺伝子の判明や遺伝子診断に関する情報蓄積とともに掲載疾患数を増やしていきたいと考えております.
このウェブサイトをご利用していただいた皆様からのご意見や御要望を下記連絡先までお知らせいただけましたら幸いです.

平成14年11月吉日 後藤雄一/久保田健夫


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