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第52回 若手育成カンファレンス報告書

 今回は認知行動療法センターで心理士として活躍されている小林由季さんに『強迫性障害患者家族の巻込まれ尺度(FAS-SR)日本語版の信頼性と妥当性の検討』という題で発表をしていただきました。

 強迫性障害 (OCD)に罹患した患者の家族では、95%以上が確認行為や儀式的行為に巻き込まれ、社会活動の制限を強いられているとされます。この家族の巻き込まれ(Family Accommodation)は、OCDに対する治療効果の低下や症状の重症化と関連するとも報告され、海外においてはOCD患者の家族に対する支援プログラムの有効性が実証されています。しかし、国内における調査データはわずかで、家族の巻き込まれを評価する尺度も存在していませんでした。この現状を踏まえ、(1) FAS-SR日本語版(Family Accommodation Scale Self Rated version; FAS-SR)を作成し、その信頼性と妥当性を検討することと、(2) OCD患者家族の巻き込まれに関する実態調査を行うこと、を着想しました。

 口演ではOCDにおける家族の巻き込まれに関して具体例を示すほか、統計学的な解析に関しても判断の基準を分かりやすく提示していたのが印象的でした。発表では、FAS-SR の因子分析や他の尺度との比較を通しての妥当性検討や級内相関による信頼性検討の結果をもとに、海外における同様の信頼性や妥当性検討についての既報との比較検討が示されました。また、発表の後は、家族の巻き込まれと患者の重症度との関連について、統計学的観点や、親子間、夫婦間といった家族構造による差異といった臨床的観点からみた活発な議論が交わされました。この研究自体、多施設が参加し、約2 年をかけた共同研究でしたが、今後も家族介入に関する調査実施を目標にしているそうで、更なる発展が期待されます。

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