精神科ケースマネジメントの実施状況に関する研究


ケースマネジメントの診療報酬はどれくらい普及している?

 精神科でケースマネジメントを行う際に算定可能な2つの診療報酬「療養生活継続支援加算」「精神科退院時共同指導料Ⅰ」について、算定実績のある医療機関の割合を調べたところ、どちらも低い割合でした。

調査時期は、 「療養生活継続支援加算」が新設されてから約1年、「精神科退院時共同指導料Ⅰ」 が新設されてから約3年が経過した時点でした。多くの医療機関がこれらの診療報酬を算定するようになるには、まだ課題がありそうです。

精神科ケースマネジメントの普及はこれからのようですね。

ケースマネジメントの診療報酬の算定は、どうすれば増える?


「療養生活継続支援加算」の算定上の課題と、算定を増やすために必要なことについて医療機関に尋ねました。

課題については、「加算について十分周知されていない」「算定要件がよくわからない・知らない」といった、算定するための情報が行き届いていないという意見が多く集まりました。また、「専任のスタッフがいない」といったスタッフ配置の課題、 「診療報酬が少ない」というコスト面の課題も伺えました。


算定を増やすために必要なことについては、大きく3つの意見が集まりました。

1つ目は「周知」で、ガイドラインの整備などを行い、診療報酬について広く周知することが求められています。

2つ目は「コスト面の支援」で、診療報酬の増点などが求められています。

3つ目は「算定要件の緩和」で、算定できる期間や職種の条件を緩めることが求められています。


「精神科退院時共同指導料Ⅰ」についても、同様に医療機関に尋ねました。 結果は「療養生活継続支援加算」と似ており、「周知」「コスト面の支援」「算定要件の緩和」が必要だという意見が集まりました。

ケースマネジメントの診療報酬の算定には、まだまだ課題があります。


どんな研究?

近年、精神科でケースマネジメントを行うための制度が整備され、2つの診療報酬が新しく設置されました。「療養生活継続支援加算」と「精神科退院時共同指導料Ⅰ」です。

この研究は、新しい2つの診療報酬が実際の医療現場でどの程度算定されているかと、算定を増やすための課題を調べることを主な目的として行われました。

調査方法

全国の763精神医療機関が調査に参加しました。うち57%は精神科クリニック、43%は精神科病院でした。2023年3月~4月に、オンライン調査および質問紙の郵送により、回答を収集しました。

調査についてより詳しく知りたい方はこちら(厚労科研データベースに移動します)